2020年12月21日月曜日

D. ハルバースタム「ザ・コールデスト・ウインター」(2009)

デイヴィッド・ハルバースタム「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」(2009)を山田耕介・山田侑平訳2012年文春文庫版で読む。上巻621ページ、下巻614ページと分厚い本。
米国の著名なジャーナリスト、デイヴィッド・ハルバースタム(David Halberstam 1934-2007)が交通事故により亡くなる直前に書きあげた最後の本。

朝鮮戦争(1950-1953)は太平洋戦争後の日本にとってもっとも身近で重要な影響を受けた戦争。中高の歴史の教科書に載ってはいても、ドラマや映画で見ることは少なく、ほとんどの日本人はよく知らないのではないか。
以前からこの本を読もうと思っていたのだが、戦史戦術、戦後の東西冷戦、国際政治に詳しくないと太刀打ちできない本ではないかとなかなか手を出せないでいた。

本をめくると冒頭に軍事用語解説がある。今までなんとなくしか知らなかった大隊、中隊、小隊、師団などの用語解説をしてくれる。ありがたい。

アメリカ人の推計死者33,000人、負傷者105,000人。韓国側の死者41万5千人、中国北朝鮮の死者は米軍側の推計で150万人。とんでもない酷い戦争。

この本は1950年10月20日、アメリカ第1騎兵師団が平壌に入城した直後の楽観ムードの場面から語られる。中国は参戦しないと思われていた。
だが韓国兵は農村から徴兵してきて訓練不足。士気の上がらない米軍はソ連製T-34戦車を前にずるずると釜山まで後退。

この本では金日成、スターリン、毛沢東、マッカーサー、トルーマン、李承晩、蒋介石といったキープレーヤーのことも詳しく扱う。米軍司令官たちのことも扱う。

マッカーサーの父アーサーは南北戦争に士官として参戦してたって知らなかった。米西戦争でアメリカのものになったフィリピンの司令官。母ピンキーは息子を軍人として出世させるのに懸命なステージママ。
マッカーサーはすでに70歳。だが、政治野心と立身出世の鬼。部下のアイゼンハワーやアイケルバーガーが目立つことが面白くない。
日本も戦争のときは軍人同士が気に入らない相手だと嫌がらせと足の引っ張り合いをしたけど、それはアメリカも同じだった。アメリカにはトルーマンともうひとり最高権力者マッカーサーがいた。

日本の歴史の教科書だと日本の敗戦から中華人民共和国成立まで一瞬のインターバルしかない。蒋介石の国民党軍はアメリカの軍事顧問団のアドバイスをぜんぜん聴かないし、自分の軍隊を使おうともしないし、どんどん価値が暴落していった。アメリカからの信用を失っていった。

40年代50年代当時の日本はスパイが野放し。日本の港に集結したアメリカや国連軍の軍艦や武器の情報は共産党員の港湾労働者から毛沢東に筒抜けw マッカーサーが仁川を上陸地点に選ぶことも中国にはお見通しだった?!その一方で金日成はソ連の最新兵器と士気の高い兵士がいるので中国の影響はなるべく受けたくない。いろんな思惑。

現場の米軍が悲惨。なにせ東京の司令部は中国の参戦をぜったいに認めないw 現地からの「中国兵が大量にいるんですけど!」という報告を一切無視。次々と壊滅していく米軍。米兵の死体の山。

原爆とソ連参戦のおかげで勝った気分になって悠々と勝ち誇ったように厚木に降り立ったマッカーサーは仁川だけが栄光。あとは悲惨な末路。中国軍をナメていた。日本人相手に威張ってたGIたちも極寒の山中で中国軍の恐怖を味わいつくした。
アメリカは中国のことで日本に言いがかりをつけて戦争して、今度は中国人との戦争で地獄を見た。

釜山橋頭保の戦いで戦史に名を残したウォーカー中将も、最期は悲惨な事故死。司令官のアーモンドが現場では嫌われまくってたとか知らなかった。
不人気大統領トルーマンが凱旋将軍マッカーサーを解任した構図なのだが、マッカーサーが急速に人気と政治生命を失っていった過程も初めて知った。

これほど多大な若者たちの命を犠牲にして韓国を守ったアメリカ。なのにアメリカに忠実でない韓国。アメリカはどこかで損切の覚悟が必要。

日本は耐えがたきを耐え忍び難きを忍んで国を開いてよかった。ソ連も参戦して本土決戦という地上戦があったら全員地獄だった。

中国軍の彭徳懐将軍も後の文革で悲惨な末路をたどったことを現在の我々は知っている。毛沢東、スターリン、金日成、みんな性格が極悪。うぬぼれ屋マッカーサーも、その忠実な子分も、トルーマンもみんな嫌い。

この本、堅苦しくて読んでいて面白みに欠ける。それほど新しい驚くような知識とかは得られなかった。ただ、朝鮮戦争に関することはだいたい学んだ。

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