監督はおなじみ堤幸彦、脚本もおなじみ蒔田光治。テレビとたいして変わらないおなじみのトリック。
ドラマシリーズはすべて4:3サイズだったので、劇場版が初めて見る16:9で製作されたトリック。
自分はトリックシリーズへの興味を2で失っていた。なので、劇場版を2は堀北真希めあて、3を夏帆めあてで見た。この1にあたる「劇場版」は別に見たいキャストがいなかったので、しっかり見たことがなかったw
10数年前にテレビ放送されたときに一度見たっきり。ほとんど内容は覚えていなかった。
トリックシリーズはすべて貧乏人、年寄り、田舎者、仲間由紀恵以外の低俗で強欲であさましい騙される日本人たちを嗤う内容が共通。堤、蒔田の世界観と人生観が色濃く出た作風。
だがこの劇場版はまず、上田の高校時代の同級生たち(キャリア官僚)が超絶嫌なやつらとして描かれている。貧乏人と田舎者と年寄りだけバカにしてるわけじゃないですよという日和見エクスキューズか?
座敷の余興で手品を見せれば仕事を紹介してもらえるかもしれないと甘い言葉で誘っておいて、手品がしょぼいとバカにした上田とその友人たちに山田は思わず陰で悔し涙…というシーンは見てる側も怒り心頭。
命の賭かった泣き鬼と笑い鬼の論理パズルとか、赤黒トランプ一致問題、複雑な図形を転写する問題とか小さな謎解きトリックは見どころだったかもしれない。小中学生にとっては。
だがそれだけ。外界から遮断され昔ながらの土着信仰を守る村人から、上田と山田が逃げ回ったり知恵で戦ったりする話。毎回変わり映えしない。
この劇場版ですっかり忘れていたことのひとつが、トリック第1シリーズで幼少時の山田奈緒子役だった成海璃子が村の神の少女として出演していたこと。洞窟の中で山田とカードをつかったマジック対決をする。ここ、びっくり。
この回から山田と山田母(野際陽子)が強欲化する。今までは山田なりの道徳観と正義感があったのだが、一気にブレを見せる。共感しずらいあさましさを見せる。そこも堤と蒔田のせいかもしれない。
村長(伊武雅刀)の「見逃してやる」には、何言ってやがる!と突っ込んだ。オマエら村人は全員殺人の共犯者じゃないか。全員逮捕で廃村だろ。あの八つ墓村の多治見要蔵みたいな老婆もポン刀で山下真司を殺してるだろ。
それに、山田が上田に「愛してる」のメッセージ?!女性視聴者に媚びるような展開にしてどうする。
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