2020年5月11日月曜日

コナン・ドイル「恐怖の谷」(1915)

アーサー・コナン・ドイル「恐怖の谷」(1915)を読む。これがシャーロック・ホームズの4本しかない長編のラストを飾る作品。
ずっと新訳角川文庫で読んできたのだが見つけられなかったので、日暮雅通訳2008年光文社文庫版で読む。
THE VALLEY OF FEAR by Sir. Arthur Conan Doyle 1915
第1部「バールストンの惨劇」
ホームズとワトソンのアパートに届いた暗号の手紙。たいした苦労も無くササッと解読。ダグラスという紳士に危機が迫っているらしい。
そこにやってきたスコットランドヤードのマクドナルド刑事が、ダグラス氏が殺されたことを知らせる。3人は鉄道でサセックス州バールストンへ。

頭部を散弾銃で撃たれた惨殺死体。窓枠に血の跡が。周囲は水を張った堀で夜ははね橋が上がった状態。
ダグラス氏の友人バーカー氏が第一発見者。夫が惨殺されたというのにダグラス夫人はバーカー氏と談笑している場面をワトソンくんに見られるなど不審な点も。

地元警察が必死に「自転車に乗った男」を捜索するのだが行方知れず。ホームズはそっち方面には興味を持たず、屋敷の歴史小冊子を面白そうに読む。

で、ある人物を罠にかける。なんと、本の半分で事件の真相が判明してしまった!w
この第1部だけでも「恐怖の谷」は十分面白い。自分は「ノーウッドの建築業者」という短編を思い浮かべた。

第2部「スコウラーズ」ここからが「恐怖の谷」の物語の本題。事件の20年前のアメリカ西部劇。反社会勢力が恐怖と暴力で支配する町ヴァーミッサ谷へ。
シカゴからならずものジャック・マクマードが流れ着く。組織のリーダーで議員と呼ばれるマギンティの元での殺し屋稼業。

これが松本清張「スパイMの謀略」を思い出すような、組織内部で頭角を現して重用されていく男の話。そして衝撃の展開。
そしてさらなるバッドエンド。ホームズはモリアーティの存在を指摘し闘志を奮い立たせて終わる。

100年以上昔の小説にしても、この物語の構成には驚かされた。コナン・ドイルはさすが世界中で今も愛されるのも納得の作家だと感じた。

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