2020年4月11日土曜日

いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46(2019)

昨年7月に公開された乃木坂46ドキュメンタリー映画「いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46」(2019 東宝)をやっと見た。

前作「悲しみの忘れ方」(2015)から4年、この間に深川、橋本、生駒、そして西野と第1期生がバタバタと卒業していった。映画を企画した側としては取れ高十分と判断したんだろう。

自分が乃木坂に興味を持ったきっかけは「悲しみの忘れ方」だった。AKB系グループアイドルのひとつ?ぐらいしか認識してなかった乃木坂の内部で起こっていた出来事と人間模様に面白さを感じた。

だが、いつのまにか、自分はこの手法の裏側が透けて見えるようになってきてしまった。あまり有能とは言えない今野と秋元の、乃木坂でお金を稼ぐ手法が垣間見えて来た。感動、そして感動。あまり連発すると受け手は感動がマヒする。
結果、自分はもうドキュメンタリーに興味も関心も持てなくなった。乃木坂工事中を日曜の夜に見ればいいではないかと。
監督岩下力という人だが自分はよく知らない。この映画がこの監督の「ある日、仕事が舞い込んできた。」「乃木坂46って名前しか知らない。」という告白から始まる。神宮外苑上空の映像から次のカットはなぜか幕張。なぜかオーケストラコンサート前のような音。
これから舞台に立つというバックステージ「もう映画撮影始まってます」と紹介されるシーンから始まる。メンバーが軽くざわめく。3期生たちもいる。開始数分楽しそうに話しながら移動するメンバーたちの映像。

で、ドキュメンタリーの糸口を探るべく、まずひとりずつインタビュー。
ドキュメンタリー映画でありながら、映画のメーキングのようになってる。

いろんな断片映像。なんだか取り留めない。そしてベートーヴェン交響曲第7番第2楽章Allegrettoが流れる。
スターになっていく過程ではなく、すでにスターになっている彼女たちをどう映画にするのか?と問いかける。

第1楽章「こんな集団は見たことがなかった」
各メンバーが「みんな仲がいい」と答えることに監督は注目。ちょっと距離をとって撮影した素材映像が「異質な少女たちの群れる画」
監督はずっと五里霧中。メンバーたちの内面へ入り込めない。桜井によれば、最初はメンバー同士がライバルだったけど、みんな仲間になった。

2018年神宮球場秩父宮ラグビー場同時コンサートライブのシーンではグスターヴ・ホルストの組曲「惑星」から「木星」。
監督は親しみのもてそうな与田をマーク。与田と仲のいい西野が、メンバーを前に卒業を発表するというシーンに密着。ここではモーリス・ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」。

西安でのイベントにも密着。ここまで見てきてまだ1回たりとも乃木坂の曲が流れてない。
監督が注目した独特な円陣はシンクロニシティのコレオグラファーが持ち込んだオリジナル円陣。乃木坂伝統の円陣とは違うぞ。
第2章「なぜ彼女たちは泣くのか?」
大人たちは少女たちが簡単に泣き出す理由がわからない。たぶん理由はない。与田は白石の代理ポジション決めジャンケンで勝ったから泣いていた。与田の可愛さは異常。

乃木坂4期生たちのオーディション映像も初出。賀喜遥香は最初から美少女。
この映画、ひたすら美少女とクラシック音楽。乃木坂とクラシックは相性が良い。
J.S.バッハ「主よ、人の望みの喜びを」が突然「ぐるぐるカーテン」でかき消される箇所はあまり上手くない。

大園と飛鳥の仲のよさに監督は注目。飛鳥は「大園先生」と呼ぶw 大園、泣きすぎ。4期生では早川が泣きすぎ。

第3章「同じ未来を見ているとは限らない」
そして監督はいつも独りでいる飛鳥をマーク。「展望がない」という飛鳥に注目。
川後と能條の卒業が幕張での簡単なセレモニー映像で流れた。晴れ晴れと去っていくもの、そして残されるものの哀しみ。その対比。

乃木中撮影現場にも密着。若月が卒業するその時の桜井。
「アイドルって卒業するものなの?」という監督の問いに涙する秋元。西野の卒業に涙する高山。「過去を考えても未来を考えても寂しい」ここで初めて西野七瀬ソロ曲「釣り堀」。

第4章「なぜ卒業するのか?」
メンバーそれぞれの活動にクローズアップ。
(みんな卒業するものなの?)
西野「ずっとアイドルはできないなって思いました」
桜井「重いですよ。結論を出すのは。悲しいから行かないで!は違うじゃないですか。生きてかないといけない。もっといろんなことをやらないといけない。」ここの桜井が見たことないぐらいキレイ。

西野はやりたいことがわかってての卒業ではなかった?!「何も思いつかないですね。今のところ。」「卒業したらお芝居やりたいってハッキリ言うのが恥ずかしい」
「私の考えは甘いと思う。でも、撮影の現場は好きだと思う。ものづくりの感じが大好き。」
第5章「想像力を駆使しなければならない」
2018年レコ大リハ密着。こうやって生の歌番組は出来上がっていくということが知れて貴重。コレオグラファーの言う「想像力」に注目。
自分はもう「シンクロニシティ」と「帰り道は遠回りしたくなる」の前後関係すらわからなくなっていて混乱。

「乃木坂も悪くないな」と感想を漏らす大園には「悪いと思ってたのかよ!」とつっこんだ。

第6章「最高の帰り道」
紅白後の楽屋ひとり西野。そして「だいたい全部展」。深川、橋本、生駒が短い時間ながら映る。

第7章「その人の生まれ育った街へ」
齋藤飛鳥にクローズアップ。飛鳥の成人式へ。「嫌んなってきた。なんで地元に帰ってきたんだろ。」「知ってる人がいないな…」
中学の同窓会への参加に怖気づく飛鳥がかわいい。卒業式にも行ってないし名前も覚えてないクラスメートたち。そんな集まりになぜ行った?むしろ飛鳥の精神的孤独を感じた。
ひょっとするとこのシーンがこの映画の個人的クライマックスだったかもしれん。

第8章「ステージのはざまで」
史上最大規模の7th year 大阪バスラの様子。一方そのころ生田はミュージカル仕事。あわただしい。脳の記憶メモリーがキャパを超える。体力も限界を超える。それでも生田は「乃木坂の現場に行かなきゃ」と想う。新幹線で紙資料で確認。

バスラに4期生が初登場。緊張で暗い表情の賀喜さんが美しい。1期生が4期生の手をとる姿がエモい。4期生自己紹介を舞台裏で笑顔で見てる先輩メンバーが尊い。

第9章「巣立ちの日」
バスラDAY4西野卒業コンサート。この映画のクライマックス。ライブビューイングで見たコンサート。
楽屋で打ち合わせ中に生駒が来てることに気づくメンバーの表情までカメラは捕らえていた。

西野ソロ曲をステージ裏から見守る生田、与田が号泣。高山の表情が切ない。残されたものの哀しみ。最後にステージに登る西野と白石が抱き合い涙する。

西野の最後のステージをみんなで見守る。かけがえのない7年を想う。西野の告別スピーチで流れる音楽はグスタフ・マーラー交響曲第5番から第4楽章Adagietto
西野がキレイだ。何もかもがふっ切れるとみんな異常に美しくなる。アイドルってたった数年の輝き。一瞬たりとも見逃せない。

そしてなぜ福岡志賀島でヤギの散歩をする与田。そして実家。母親も後姿で出演。娘祐希の活躍をすべて切り抜きファイルにしてる。ページをめくり涙を流す与田。これも名場面。
終章「嘘かもしれない」
そして23枚目シングルのセンターは齋藤飛鳥。映画スタッフは飛鳥のエディンバラ旅行にも密着。飛鳥はほんとうにどこでも一人で出かけてて呆れるw 映画スタッフに「観光だけ撮って大丈夫?」と心配する飛鳥が可笑しい。

飛鳥「乃木坂がなくなったときが怖い」「でもそれは仕方ないと思える部分もある」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番第2楽章がバックに流れる。
「期待してないってずっと言ってきたけど、嘘かもしれないw」
なんか、見終わって笑顔になれた。
飛鳥がいるまでは乃木坂に注目して自分なりに応援していこうと思う。
エンディング主題歌は「僕のこと、知ってる?」

散漫な内容だったが、それだけメンバーの多くがそれぞれ独自に活躍できてるということ。十分に面白かった。結果、見てよかった。これは映画館で見ればさらによかったかもしれない。

第1ドキュメンタリー「悲しみの忘れ方」を初めて見たときは、ほとんど乃木坂を知らない状態で見た。泣いた。
第2ドキュメンタリー「いつのまにか、ここにいる」は3年半どっぷり乃木坂をウォッチして、メンバーたちが次々に卒業していった状態で見た。こちらも泣けた。

PS. 新型コロナウィルス感染拡大で欅坂ドキュメンタリーと日向坂ドキュメンタリーの公開が延期になった。
だが、一番の苦痛は白石麻衣の卒業コンサートがなくなってしまったこと。コロナはなんでも延期にさせた。白石の卒業だって延期にしてもええんやで。

今後、生田、松村、あたりが卒業していくかと考えると寂しい。

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