A FALL OF MOONDUST by Arthur C. Clarke 1961クラーク先生がこの長編を書いたのが1960年8月から11月。当時はまだアポロが月面に着陸する9年前。
自分はまったく知らなかったのだが、月面にある「海」と名付けられた場所は、当時の科学者たちから、あまりに平なために塵のような微粒子の海のような場所ではないか?と考えていたらしい。
そこに宇宙船が着陸すると、ずぼずぼと底なし沼に沈んでいくイメージがあったらしい。
この小説はそんなイメージの遭難救助SF。まじか?!
月のことはまだよくわかってないけど観光遊覧船セレーネ号が運航。そこに月の地震にる地殻変動。アリジゴクのような流砂に巻き込まれ、「塵」微粒子の海に乗員乗客22名を乗せて沈む。ビーコンが消えたので遭難?と捜索が始まるのだが、どこへ消えた?!
船の内部と捜索側の双方の視点で交互に描かれる。電波も届かない状況で救助を待つ人々はメモ帳でトランプカードを作ったり、演劇をしたりして正気を保とうとする。
だが、周囲を覆う液体と砂のような特徴を持つ隕鉄微粒子は断熱材の役目も果たしてしまうために、船内の気温が上昇。高温になったために二酸化炭素を吸着する化学反応が働かず、さらに危機的状況。
捜索側は乗員乗客全員絶望かと諦めかけてたのだが、たったひとり赤外線で異常を感じたポイントに探針を差し込んで15m地下にセレーネ号を発見。
先端にドリルのついたパイプを差し込むことで空気と二酸化炭素濃度と高温の問題はクリアしたかに思えたのだが、船はさらに沈下。パイプ管が外れてしまいパニック!
救出リミット時間が短いために、シミュレーションやマニュアルを検討する時間がないためにイチかバチかのやっつけ仕事。救出中に火災までも!
これ、人類がまだ経験したことのない事故にどうやって立ち向かうか?というSFアドベンチャー。思索的で哲学的なクラーク作品ばかり読んできた自分としては予想外に面白かったと言わざるをえない。
だが、現実的にはありえない設定なので、「アポロ13」やチリの地下に閉じ込められた労働者の救出というようなリアルにあった事故のドキュメンタリーほど面白かったかどうかはわからない。
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