2020年3月6日金曜日

長澤まさみ「キングダム KINGDOM」(2019)

長澤まさみが出演している「キングダム KINGDOM」(東宝、ソニーピクチャーズ 2019)を見る。監督は「アイアムアヒーロー」でまさみを輝かした佐藤信介
こいつが57億の大ヒット。

「キングダム」はマンガ原作があって連載開始時から盛り上がってるのはなんとなく知っていた。自分は古代中国史を高校世界史でしか知らない。三国志も知らないし西遊記も水滸伝も馴染みもない。あまり関心を持ってるテーマでもない。

中でも春秋戦国時代はとくに何も知識がない。だが、今でも「斉楚秦燕韓魏趙」という戦国の七雄は呪文のように覚えている。
そんな酷い時代の酷い国に生れた少年二人が奴隷として売られていく。幼いふたりは辛い奴隷労働に耐え剣術を磨き、やがて漂(吉沢亮)だけが昌文君(髙嶋政宏)に剣の腕を見込まれ王宮警護に抜擢。(実は王嬴政とクリソツなのでスカウトされた)

王の弟成蟜(本郷奏多)の王位簒奪クーデター。瀕死の重傷を負った漂は信(山﨑賢人)の元へ逃げ延びてきて息絶える。信は復讐を誓う。

こいつが独学にしては剣が強い。というのも誰よりも高く跳ぶ才能を持っていた。
村にやって来た追討軍を蹴散らす。そして嬴政(吉沢亮)と再会。てか初対面。王にタメ口でべらんめえ口調。

重たそうな剣を振り回したアクションシーンはワイヤーで引っ張る現実的でない動き。こういうの、アクション映画で長く続いてる伝統芸だ。

河了貂(橋本環奈)が逃げ延びるふたりを金目当てで道案内。「ビビッてねえし」とかいう。
古代中国の英雄たちを日本人俳優が日本語で演じる。「西遊記」や「テルマエロマエ」がある今なら何も違和感がない。ハリウッドも昔から古代ローマやエジプトを英語で描いてるし。

漂の自己犠牲が悲しい。こういうの「隠し砦の三悪人」でもあった。高貴なるものを護るための身代わり。
長澤まさみが助演女優賞級の働きと存在感。
まさみの衣装がわりと近年にはめずらしく露出が多い。映画公開時から「まさみのふともも」ツイートをたくさん目にした。

山﨑賢人と吉沢亮の身分の違うふたりがバディとなって昌文君の軍と合流を目指す。次々と送られる刺客。強敵。
成蟜(本郷奏多)がほぼ悪魔の冷血独裁者。8万軍勢の観閲が壮観過ぎる。
そしてひたすら戦闘シーン。ふたりは山の民のリーダー楊端和(長澤まさみ)に400年ぶりの支援を要請。こんな山の中の僻地の国は侵攻不可能だろ。まさみはそんな勢力の王。まるでジャバザハット。ほぼ化け物。

だがマスクの下は最強に美しい女戦士。
そんな麗しのまさみの御尊顔を拝観できるのは映画開始から約1時間20分。ずいぶんと待たせる。まさみの声は威厳のある低い声。

「存分に楽しもうではないか」斬鉄剣を抜く五右衛門のようだ。「矢ごときに屈する我らではない」舞台と声優の経験を経て今のまさみだ。そして、まさみ抜刀隊が縦横無尽。

環奈「こんなのムリだ」という中ボスキャラがもうファンタジーの怪物。
本郷の「ヴァカがっ!」の言い方が良い。キャラが良い。
結局、王騎(大沢たかお)の思い描いた側の勝ち。
酸鼻を極める殺戮シーンがあるものの、こどもおとなには十分楽しい古代中国戦国絵巻。日本人が演じる古代中国史ファンタジーもアリだなと感じた。
PS. そして今夜、第43回日本アカデミー賞授賞式が放送される。まさみは楊端和役で優秀助演女優賞を受賞。15年ぶりの最優秀助演女優賞のチャンスだ。

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