2020年3月12日木曜日

唐田えりか「寝ても覚めても」(2018)

柴崎友香の同名小説を映画化した「寝ても覚めても」(2018)を見る。監督は濱口竜介。第71回カンヌ国際映画祭のコンペ部門に正式出品されたという恋愛映画。

この映画、今年になってとんでもなく注目度が増してしまった。主演のふたりがプライベートでやらかして。不倫は犯罪ではないのでネット私刑。芸能で生きるふたりがネット世論を敵に回す恐ろしさ。

自分、唐田えりかという女優の演技を見るのはほぼ初めて。かつてソニー損保のCMでよく見ていた顔だったのだが、あまり自分の見るドラマや映画で見かけなかった。
東出昌大は「桐島」「アオハライド」「コンフィデンスマンJP」でも見てきたデカすぎ棒俳優。世間は演技の経験なくても、大学でシェイクスピアを専攻してなくても、お茶の間素人がドラマ俳優の演技に辛辣批評。

柄の悪そうな高校生がふざけ合ってる川沿いの道を歩いてヒロインは写真展へ行く。最初の表情のカットから唐田がかわいくないw 感情ゼロの老婆のような表情。
その唐田の背後をふんふん鼻歌唄ってすれ違うボサボサ頭に白Tシャツの男。なにやらゆらゆらへらへら体を揺らして歩いていく。ドラッグでもやってんの?
この1~2分を見ただけで何やら不安と圧迫感。なのにヒロインはフッと微笑のようなものを浮かべる。男の背後についてく。出会いのシーンからして異常に不気味。男は名前を名乗るとすぐに女にキス。

なんだこれ?怖い。と思ってたら黒猫チェルシー渡辺大知が視聴者を代弁してツッコむ。
日本人はまるで貧民窟みたいなガード下飲み屋で酒を飲む。ちなみにこの映画は大阪が舞台。そこにヒロインの友だち伊藤沙莉が駆け入ってきて、東出を一目見るなり「こいつはアカン。一番アカンやつや」と第一印象を正直に言う。唐田、東出、渡辺、この3人がまるで白痴。伊藤だけ常識人で鋭い。

ふたりで海岸をツーリングデート。そしたら次のカットで事故で倒れてる映像。なのにふたりはまた濃厚なキスを始める。なに、このコント。
この映画、ふたりがひたすらいちゃいちゃする。周囲はなんでこんなふたりの恋を応援できるん?

東出演じるバクという男は「パン買いにいってくる」と言い残しフラっといなくなるような痴呆老人のような男。なりゆき任せの徘徊。結局、帰ってこなかった…とナレーション。

19分後に2年半後の東京へ舞台は移動。あれだけだらしなそうだった大学生男がスーツ着てる。日本酒メーカーに勤務してるらしい。大阪から移動でやってきたばかりらしい。
だが、この東出はバクとは別人だったw こっちの東出はわりとまともな男。コミュニケーション力高い。女はケータリングもする喫茶店の店員。再会する女の表情が感情ゼロw

この女が東京でも大阪と同じ写真展を見てて後ろに東出。そんな偶然に驚く。
唐田の東京でのルームシェア友が山下リオ(舞台女優)。この女に東出社員は「家にこない?」と誘われる。
東出はたいして仲も良くない同僚瀬戸康史を「テレビに出てる女優との合コン」と称して連れて行くのだが、この瀬戸も超絶めんどくさい男w 演技をめぐってマジ喧嘩。このシーンは地獄のようでもあるしちょっと面白くもあった。

で、この4人はダブルデートするようになってる。だが唐田がぜんぜん楽しそうじゃない。唐田が理由もわからず東出に別れを切り出す。

え、この映画、東日本大震災を描いてるの?!実際の揺れのほうが大きく長かったけど。
3.11の午後と夜を思い出す帰宅難民映像。
ふたりは路上で再会。そしてまた「5年後」というテロップ。今度は同棲してる。なぜかやっぱり唐田は感情ゼロ能面顔。

震災ボランティアでふたりは漁港でお手伝い。漁師のオヤジ役の人、仲本工事?!ひさしぶりに見た。田中美佐子さんもすっかりお婆さんで哀しい。

このドラマは昔の男と今の男が顔がまったく同じでヒロイン困惑…というもの。それでずっと唐田が無表情。
大阪に引っ越して新居にバクが現れるシーンが恐怖!w 「迎えに来たよー」なにこれ。幻覚かと思って見てたら本物?なんだこのストーリーは。破滅願望?現実なのか夢なのか?
ある日突然周囲の人間関係がすべてぶっ壊れる。このヒロインが意味わからなくて見てる側が困惑。常識がありそうでまったくない。
バクと一緒に北海道へ向かったヒロインだったのだが、東北の海岸付近で遺棄される。「バイバイ」

今度は悔い改めた唐田が、落ち込んで激怒して冷たくなった東出を追いかけるようになる。引き画での追いかけるシーンの光がさしてく様子がちょっと印象的。
まったく予想通りにならない男女の数年間。男女の相互の理解と信頼は難しい。
東出より唐田がはるかに棒。無表情すぎて魅力を感じることが難しい。120分が長く感じた。

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