東野圭吾「十字屋敷のピエロ」(1989)という本がそこにあったので読む。1992年講談社文庫版で読む。
自分は平成を代表するこの人気作家の本をまだ数冊しか読んだことがない。ささっと読めそうなのでこれを選んだ。東野圭吾31才のときの初期作品。
上から見ると東西南北に十字の形をした2階建ての屋敷へ、オーストラリア留学から戻った水穂25歳は従妹の佳織(20歳、車椅子)と再会。
この家では優秀だった前社長の長女(ヒロインの伯母)がノイローゼとヒステリーで2階バルコニーから飛び出して死亡していた。
一代で財を成した実業家だった祖父幸一郎が亡くなって49日。長女の夫宗彦(婿養子)が地下室で殺されているのを家政婦が発見。さらにその秘書(愛人)までも殺されている!
内部の犯行では?と疑われた一家。刑事たちが犯人に指名した容疑者(取締役)とは別に真犯人がいるのではと疑った水穂。祖父の恩人の孫青江(孤児)は将来有望の化学専攻大学院生。そして、呪われたピエロ人形を買い戻しに来た人形師悟浄。この3人が情報を共有しながら推理。
佳織の証言からピエロ人形に証拠があると気づいた青江。だが、駅に向かう途中の林の道で頭をカチ割られ死体となって発見。
そして、水穂と人形師悟浄はそれぞれ真犯人に気づく。
これ、読者を欺くために、人形であるピエロ目線一人称の独白ページが挟まれるのが個性的。だが、自分の印象ではそれほど効果的でもなかった気がする。
まだ人気作家になる前の若手が書くような、標準には達している佳作という印象を受けた。トリックにあまり納得できなかった。
真相にそれほど驚けない。真相のさらに真相があるのがこの時代の書き手のスタンダードだが、それほど驚くようなものでもなかった。
ただ、まだそれほどスレてない高校生ぐらの読者にはオススメできる。
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