2019年11月20日水曜日

日本のいちばん長い日(2015)

原田眞人脚本監督版「日本のいちばん長い日」(2015 松竹)は地上波放送時にちょっと見たのだが、これは見なくてもいいかと途中で見るのを止めてしまった。
だが、意外にこの映画を褒める人もいるのでこの夏ふたたびのトライ。

原田版がいきなり東條英機のアップで始まる。東條役の俳優がとても似てて感心だが、鈴木貫太郎首相に大命下るのシーンで東条が牽制に現れるとか史実なの?一般的な映画ファンに阿南や鈴木首相はキャラ的に浸透してなくて弱いからまず東条?
それにこの映画は本木雅弘演じる昭和天皇までも出しちゃってる。

この原田版は1967年岡本喜八東宝版とまったくの別物リメイク。半藤一利「日本のいちばん長い日」とも別物。いろんなものを足してる。
ナレーションがないぶんセリフがやたら説明的で演劇的。セリフを言いながらやたら何かやってる。あぁ、そうじゃない!と思う。

岡本東宝版はまだ戦争が終わって22年しか経ってない。今回の原田松竹版は70年。それなりに本を読んだり勉強してる人じゃないと戦争当時の常識がもはやない。今の視聴者は陸軍と海軍がギスギス仲たがいしてるのすらわからない?

岡本版でもそうだったけど、荒ぶる米内海軍大臣がイメージ違う。さすがにあの場面では米内さんも精神ギリギリ状態?
大西瀧治郎は自決で責任をとった人だが、この映画ではさらに「なんだこいつ?」というキモい不快な人物になってる。

松坂桃李の畑中少佐がスマートで涼しげ。昔は冷房なんてなかったのだから登場人物全員もっと汗びっしょりじゃないと。
阿南惟幾という人はつくづく哀しい存在。

この映画、キレイな映像で現代的な演技で家族の物語もプラスして、さらに反乱シーンをドラマチックにリメイクすればよい映画になるかという勝算があったかもしれないが、結局あまり好きになれない。やはり岡本喜八はすごかったと再確認。
山崎努の鈴木首相はよかった。

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