2019年10月14日月曜日

シリーズ深読み読書会「悪魔が来りて笛を吹く」

シリーズ深読み読書会(10月9日放送)がまたまた横溝正史を取りあげた。今度は「悪魔が来りて笛を吹く」

今回のナビゲーター的ナレーターはなんと鈴木杏。だが、「金田一少年の事件簿」に出ていたというのに杏ちゃんは横溝正史を読んだことがなかったという。ま、それが普通か。

そしてこちらも初めて横溝を読んだという島田雅彦氏、そしておなじみ高橋源一郎道尾秀介の2氏。
この4人が「悪魔が来りて」に隠されたメッセージを深読みし読み解く座談会。
アプレゲールだ!道鏡だ!チェーホフだ!源氏物語だ!オイディプスだ!など、インテリトークに耳を傾ける。

まさみの同級生鈴木杏がまるでスナックのママみたいになっていて衝撃w 何かの役作りか?
作家たちに交じって的確に自身の「悪魔が来りて」解釈と持論を展開していて感心。杏ちゃんの口から「肉欲」とか「近親相姦」とかいう言葉を聴くことになろうとは。
高橋源一郎氏は作品の前後の年表から「高木元子爵失踪事件」なる新聞記事を発掘してきた。
「悪魔が来りて」は帝銀事件がモチーフと見せかけて、三笠宮の義理の父(入江侍従長の義理の兄)である高木正得元子爵が失踪して奥多摩山中で白骨死体となって発見された事件を元ネタにしていた!これが華族制度廃止による困窮が原因か?
それ、今まで知らなくてびっくり。

高橋氏は須磨がでてくることから「源氏物語」との類似性を指摘。その一方で島田氏は得意ジャンルのオペラからモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」におけるドン・ジョヴァンニ、ドンナ・アンナ、騎士団長を「悪魔が来りて」の登場人物に当てはめるなどの説を披露。道尾氏はクラシックにまったく馴染んでないらしく「話にまったくついていけないw」とのことだった。

さらに高橋氏は椿新宮玉虫という貴族の名前に着目。何かメッセージが隠されているのでは?
椿は「首が落ちる」不吉な花なので名家の家紋には使われない名前らしい。新宮は大逆事件の主要メンバーを出した土地。そして、玉虫は「玉虫厨子」を連想。それはつまり、兄(用明天皇)と妹(穴穂部間人皇女)の間に生まれた聖徳太子だ!

作家先生たちは「悪魔が来りて」を「こんなこと書いていいんだ」と感心していた。ギリシャ悲劇でしかないようなインセストタブーを盛り込んだ小説は他にあんまり見かけない。

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