2019年9月25日水曜日

葵わかな「逆光の頃」(2017)

葵わかなの主演作に「逆光の頃」(2017)という京都映画があるので見る。高杉真宙くんの主演作らしい。
これはマンガ原作があるようだ。京都のなつやすみ高校生日常映画。1時間ちょっとなので商業映画らしさのない映像芸術作品。

京アニ作品とちがって登場人物たちがみんなちゃんと京都弁。自分、高校生以前は京都って舞妓とお坊さんしかいないと思ってた。ちゃんと若者たちがいた。
葵わかなはとびきり美人というわけでもスタイルが良いわけでもないので京都の街の日常と高校生の風景にリアリティを持って溶け込んでる。
わかなの父親役で桃月庵白酒師匠がワンシーンのみ出演。落語家さんは京都の街にそのまま溶け込みやすい。このふたりが親子なことは顔を見て納得がいく。

高杉と清水尋也のコンビの高校生の夏。京都の夏は暑いのだから、あんなふうに制服のまま川で水浸しになって遊んだらいいのに。あんまりあんなことしてる人は見たことないけど。
清水はバンド活動でお世話になったライブハウスから、この夏で店を閉めることを告げられる。「京都でライブハウスは難しい」え、そうなの?磔磔とかも苦しいの?

高杉くんは高校で英単語を覚えていたら寝てしまって起きたら真っ暗。なんで誰にも起こされずに校内に閉じ込められるの?
やばい!警備員がくる!かわいい女の子と夜の校舎。それはわくわくする状況。

この映画の京都が強くディストピア感がする。古い木造の家々の狭い路地しか映らない。車も走ってない。ここまで古都の雰囲気を出した映像作品をみたことはない。京都って今もこんな街なの?!こんな幻想的な街は他にない。こんな街で高校生やってる人が本当にいるの?!

いまどき殴り合いのケンカする高校生とかいるの?あんな粗暴なやつは今ならSNSとかでハブられる。
ひょっとすると現代が舞台じゃないのかもしれない。ひとむかしもふたむかしも前設定なのかもしれない。

父親の昔の話がアニメになる箇所は違和感。仏像に金糸を張り付ける職人の父ならもっと枯れた感じになるに違いない。見た目は怖いが言葉遣いは優しい。主人公が父親をそこまで恐れる意味がよくわからない。
でも、京都で代々受け継ぐ家業がある家は進路に悩んだりしなくてええなあ…って思うわあ。
淡々としていて懐かしい感じ。とくにドラマも起こっていない。だが、京都で高校生ライフを送る青春も体験してみたかったな…って思えた映画。
京都人とそれ以外ではたぶん見方が違うかもしれない。見る人によっては何も面白くないかもしれないが、自分には美しいと思えた66分映像作品。

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