2019年9月19日木曜日

アガサ・クリスティー「殺人は容易だ」(1939)

アガサ・クリスティー「殺人は容易だ」(1939)を高橋豊訳1978年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。これが私的クリスティマラソン51冊目。
MURDER IS EASY by Agatha Christie 1939
中東での警察官の仕事を退職し数年ぶりにロンドンに戻る鉄道で、向かいに座ったおしゃべり好き老婆から話を聴くルーク・フィッツウィリアムくんが主人公。

老嬢ミス・ピンカートンの住むウィッチウッドアンダーアッシュ村では密かに連続殺人事件が起こってるという。地元警察では殺人の捜査に慣れていないだろうからロンドン警視庁に直接訴えに行く。「私は犯人を知っている」

だが、ミス・ピンカートンはその日、警察に向かう途中でひき逃げに遭い死亡。
次に狙われると名前を挙げた医師もその後死んでることを新聞で知る。マジか?!

ヒマなもんだから、いとこがその村に住んでるという友人のコネで、村の名士ホイットフィールド卿の城のような屋敷に、民俗学の本を書く作家という名目で投宿。来村の目的を隠して村の人々から話を聴く。村ではこの1年不審死が相次いでいた。

ミス・ピンカートンの話しぶりだと、とても殺人を犯すとは思われない人が犯人らしい。地元の名士と言われる数人と、がらくた骨とう品を売ってるちょっとおかしい青年をマーク。動機は?ピンカートン婦人殺害時村を離れていなかったか?性格的に殺人が可能か?など考える。要点メモをわかりやすく心の声で列挙。

クリスティ女史にしては事件と関係ない傍流ムダ情報が多い。だが、終盤になると疑惑はあるひとりの人物に絞られる。え?なんだか急にサイコパスホラー展開!

自分は残りページ数からそれは真相じゃないなと思ってた。ラストでは驚きの展開が!この真犯人はクリスティ作品の中でも特に怖い。サスペンス映画として秀逸。

クリスティ女史らしからぬイヤミスバッドエンドか?と思いきや危機一髪回避。ちょっとだけバトル警視も登場。
ミス・ピンカートンが犯人の目つきを話すとき、その犯人と同じ表情と目をしていたってところはクリスティならでは。

そしてやっぱり魅力的な男女のラブ要素も盛ってくる。ホイットフィールド卿の有能な秘書ブリジェット・コンウェイといつのまにか恋仲。終わり方もオシャレ。
とても楽しくひと晩で読めた。オススメする。

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