2018年1月26日金曜日

高木彬光「古代天皇の秘密」(1986)

高木彬光(たかぎ あきみつ 1920-1995)という推理作家は今でも少なくない人が読んでいるのだが、自分は今回初めて読んだ。
よりによって「古代天皇の秘密」という古代史本を選んでしまった。昭和62年角川文庫版の平成3年第13刷。100円でゲット。

これ、高校時代に手に取りかけて読んでなかった。東大法医学教授を退官した60代半ばの名探偵・神津恭介がバイクにひき逃げされて骨折入院。古代天皇をめぐる諸問題を謎解きして退屈をしのぐベッドディテクティヴもの。

神津とその友人の推理作家松下、大学で奈良時代の歴史を研究してる洋子の3人がひたすら話し合うだけの本。推理小説ファンからも古代史オタからもあまり評判がよくない1冊。
松本清張も古代史にはずいぶんと独自の見解を述べる本があるけど、この人も邪馬台国本を書いたりした。

「歴史の専門家で助手をしてくれる人いないかな?」ということで連れて来た女性が「アメノヒボコの末裔」とか言い出して「神がかりか?」と疑うシーンがあるけど、邪馬台国は宇佐だと決めつけている神津恭介(高木彬光自身)、アンタもよっぽどだよ!とつっこんだ。
この人、成吉思汗を源義経だと「証明」もしたそうだが、自分にはかなりイっちゃった人に思えたw かなり断定が多い。

自分、これまでにずいぶんとこの手の古代史本を読んできたので理解できるだろうと思った。それでもだいぶ現在地を見失ったw 古代史は壮大な妄想が許される世界でもある。その発想がデカいほど面白い。この本が書かれた80年代中頃までに出そろっていた様々な古代史トピックや諸説が入り乱れる。

自分は綏靖-安寧-懿徳-孝昭-孝安-孝霊-孝元-開化の欠史八代天皇は存在性がまったくない創作された天皇だと信じていた。同じく存在が疑わしい仁徳や雄略朝の天皇たちのように同じ創作するにしてもエピソードを書き足してもっと嘘で塗り固めることもできたのになって思ってた。

だが、系譜だけは伝わってたのかもしれない。高木の云うように、物部系への入り婿8人なのかもしれない。
ほとんどが100歳以上の長寿という問題も一年二倍暦、一年四倍暦でなんとかなるかも…ってことも初めて知った。

あと、天孫降臨、神武東征(応神東遷)、アメノヒボコ、長髄彦と安日彦、いろいろと自分が初めて見聞きする説が多かった。
「景行天皇は九州征討のとき天皇家の祖先の地を偲んだ歌を詠んだかね」とか、「古事記の出雲神話と島根県の出雲は関係ないよ」とか、「おおぉぅ?!」って思ったw 

現在の学生たちはまず知らない偽書「東日流外三郡誌」も登場。やはりこの本はあんまりオススメできない本かもしれない。推理作家・高木彬光、古代史をずいぶんと引っ掻き回す。自分には面白かった。

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