2017年12月27日水曜日

ディクスン・カー「火刑法廷」(1937)

ジョン・ディクスン・カー「火刑法廷」(1937)の1976年版ハヤカワ・ミステリ文庫(小倉多加志訳)2005年第15刷を手に入れた。状態はまずまず良い。100円。
THE BURNING COURT by John Dickson Carr 1937
雑誌編集者エドワードは、謎の犯罪作家書き下ろし原稿に添付されていた毒殺魔の古写真が妻マリーとそっくりなことに衝撃を受ける。

17世紀フランス・ルイ王朝時代の「火刑法廷」において、断頭台に送られた後に火刑にされた毒婦の話と、1920年代ペンシルベニアの田舎にある古い洋館で起こった当主の毒殺疑惑、幽霊の目撃、そして死体の消失を、カーらしいオカルト趣味と不可能犯罪を交錯させた怪奇ミステリー長編。

クリスティを読んだ直後にカーを読むと、とにかく内容が頭に入ってこない。すぐに眠くなる。ドラマ作家としての力量もだいぶクリスティに劣るように思える…。
本の半分まで、とくに事件も起こらず、男たちのグダグダした墓堀りと会話劇。これで退屈しないほうがどうかしてる。

ペンシルベニアの田舎屋敷には代々の納骨所がある?埋葬したあとはコンクリート舗装?当主の死の直前に部屋に古い衣装の女がいた?
そのへんがまったく理解できずに困った。結果、肝心のカー不可能犯罪に新鮮さを感じられず。

フィラデルフィア警察の刑事が登場してから、こいつが意外に有能でいっきにいろんなことがわかる。そして謎の老作家クロス氏が登場。今回の謎解き担当はこの二人。ようやくちょっとは面白くなる。

謎に満ちた妻マリーの件、古写真紛失の件、え?そんなこと?!ってちょっと笑った。

いちおうカーの代表作という扱いらしいのだが…、自分とすると名作と呼ばれる理由がよくわからなかった。最後の展開も蛇足のように感じた。「皇帝のかぎ煙草入れ」のような面白さは感じなかった。

巻末解説によれば、横溝正史氏は座談会で「いつかまたカーは売れるようになる」と予言してたらしい。海外ミステリは良い訳にめぐまれることが大切だが、それにしてもカーの筆致ではそれほど感心するほどのこともない。

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