2017年12月18日月曜日

アガサ・クリスティ「ポワロの事件簿1」(1924)

クリスティ短編全集6「ポワロの事件簿1」(厚木淳訳)1980年創元推理文庫版を読む。
これ、今まで4,5回見つけたけど、そろそろ読んでやろうかと。
1998年の第30刷でとてもキレイな1冊だったし。
POIROT INVESTIGATES by Agatha Christie 1924
英国のユーモアとウィットで人気の1冊。ハヤカワ版「ポアロ登場」という1冊と構成がだいたい同じだが、「ポアロ登場」のほうが3篇多い。

この本を読むことで初めてポアロの友人ヘイスティングズ大尉とやっと出会えた。私立探偵ポアロとナイスなコンビ芸を見せる。

風変わりな奇人ポアロに対して、大英帝国の威厳を見せる紳士としてそこにいるはずのヘイスティングズ君がポアロにやられっぱなし。「僕にだって探偵はできる」と張り切ってもポアロの前に完全敗北。
ポ「涙ふけよ」ヘ「ち、ちくしょう…絶対に許さない!」やってることが紳士じゃない。ポアロのイジワルさが酷い。

西洋の星事件 読み始めてアレ?って思い始めた。初めて読むって思ってたけど、これ内容知ってる。西洋の星と東洋の星というダイヤモンドの盗難事件。
こいつは3回読み返してようやく全体像がわかった。そこそこ面白い。実はアレがアレだったという。ネタバレになるのであまり語れない。

クリスティの短編は展開が急なのと登場人物が多くてキャラを掴む前に終わってしまう。
初動からポアロが友人に対して何も説明しない。読んでる方も何やってるのかわからずイライラ。

マースドン荘園の悲劇 ポアロは保険会社の調査員もするのかよ。殺害のトリック自体は凡庸。

安いマンションの事件 これはトミー&タペンスのようなドイツスパイもの。まあ、こんな短編もあっていいか。

ハンター荘の謎 風邪で寝込んだポアロに代わってヘイスティングズくんが現場へ調査に出向く。話を聞くだけで犯人を指摘するポアロ。

百万ドル公債の盗難 ロンドンからニューヨークへ、自由公債を運ぶ途中に盗難されたちまち売り出された事件。あんまりよくイメージできなかったけど、たぶん犯人こいつだろって思ったら当たった。

エジプト王の墳墓の事件 たぶん当時世界的に流行ってたオカルト話「ツタンカーメンの呪い」がモデル。エジプトの砂と暑さに苦しむポアロ。奇行でなんだコイツ?って目で見られる。犯人が○○なら迷信らしく殺人も可能だな。

グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件 ホテルでの真珠のネックレス盗難事件。犯人は小間使いか女中か?短時間での盗難のトリックはよくイメージできないけど、短編ならではの作品。

誘拐された総理大臣 ベルサイユでの連合国会議に出席するためフランスに渡った英国首相が誘拐された事件。政府から解決を依頼されたポアロ。これもポアロが一体何をやってるのかわからずイライラ。

ダヴンハイム氏の失踪 自宅からふらっと出かけたまま戻らない銀行頭取の事件。直後の訪問客に嫌疑がかかる。
頭取が意外な場所にいることを指摘するポアロ。これ、現代日本だとありえない。指紋とかとらないのか?

イタリア貴族の事件 アパートで撲殺されて発見された偽イタリア貴族。ポアロは飲みかけのコーヒーに注目。読み終わった直後にはもうどんな話だったかよく覚えていないw ま、映像化しても10分ぐらいの短編だな。

遺言書の謎 これも特に人に話したいようなこともない。遺言状の隠し場所を捜すことが謎。ポアロとヘイスティングズのやりとりを楽しむ短編。

わりと評判のいい短編集だが、事件のトリックよりもポアロとヘイスティングズのキャラ萌えのための1冊。

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