THE ADVENTURE OF THE CHRISTMAS PUDDING by Agatha Christie, 1960ポアロもの短編集。
1本目「クリスマス・プディングの冒険」
某国の王子が所有していたロイヤル・ルビーの紛失事件。ポアロの活躍で発見し撮り戻す。
ポアロが「寒いの嫌だ~」感をすごく出してるw 暖房設備がちゃんとしてないと田舎事件の依頼を引き受けないw
老探偵ポアロの地味な活躍。ぶっちゃけそれほど面白い感じはしなかった。
日本人は意外に英国の風習をよく知らない。だいたいプディングという料理がよくイメージできない。
2本目「スペイン櫃の秘密」
なんかエラリーっぽいタイトル。ごく親しい間だけでのパーティーの翌朝、出張に出かけて欠席したはずの官僚の刺殺体が櫃の中から発見された!という古典ミステリーっぽい1本。
これは既に発表されていた作品の改訂作。知らずに読んだ人は「あれ、だぶってる?」って思うらしい。
3本目「まけ犬」
書斎で撲殺されて発見されたアストウェル卿、その甥が逮捕される。老夫人は直観で秘書が怪しいという。
短編だから枚数を急がないといけないのか、催眠術をつかって証言を得たりして、そこは現代日本人としては疑問な展開。
ジョージというポアロの召使が登場し目立ってる。ポアロは事件現場の屋敷に単身出張してたはずなのだが、探偵ポアロに用意された部屋でジョージが鞄の荷物整理をしてるシーンがあって混乱した。あとから鞄を持って汽車とタクシーで現場に来たってこと?そこ、描写する必要のまったくない当時の常識? 最初、誰だこいつ?とページを遡ったわ。
4本目「二十四羽の黒つぐみ」
そのレストランに火曜と木曜に必ず来ていた老人が突然来なくなった。家で階段から落ちて死んでいた。
ここまで読んで気づいた。アガサ・クリスティーは短編のほうが読むのに疲れるw
込み入った話を短い枚数で理解することは難しい。登場人物たちのキャラをつかむ前に核心部に来てしまう。展開が早くて混乱する。しかも英国の風習はよくわからない。
5本目「夢」
ポアロに持ち込まれた自殺しようとする「夢」についての相談。「それ、探偵の仕事じゃない」と断るのだが、依頼者が後日自殺。
このトリックは古典的かもしれない。だが、伸縮自在ばさみってなんだ?
6本目「グリーンショウ氏の阿房宮」
これ、予期せずミス・マープルものだった。「ミス・マープル」を初めて読む。英国って老婆でも結婚してなかったらミスなんだな。老女主人が宮殿のような屋敷で矢で撃たれて死亡。
これも遺産相続に関する殺人。一人二役と殺害時刻をずらす古典的トリックもの。短編だと筆致が簡潔すぎて、一字一句理解しないといけないのでページを戻ったりして疲れる。しかも登場人物表がないので困る。
この短編集を読んで、クリスティーは長編のほうが良いなと思った。この6本はどれも30分ドラマには向いていると思う。
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