2017年9月8日金曜日

岩井俊二「花とアリス」(2004)

9年ぶりぐらいに岩井俊二監督作品「花とアリス」を見返した。これ、とても懐かしい。初DVD化された当時、好きすぎて何度も見た。

これ、個人的に岩井作品の最高傑作だと思ってる。
いい映画には説明くさい台詞はいっさいない。見ればわかる。テレビCM感もするが、自分にとってゼロ年代ベストだし映画の教科書。アイドル女優映画はこう撮れ!

今見返してもこの映画が大好き。抱腹絶倒の面白さ。あの時代を想い出して懐かしくて胸がキュンキュン痛い。

鈴木杏と蒼井優がまるでこども。今見ても可愛くないw 
だが、この二人の掛け合いは天才的。ひたすら思いつきの言い訳の連続。まるで古典落語。人生とは落語であるというメッセージ。みんな言い訳ばっかり。

ぼんやり男・郭智博を強引にダマシ続ける。この男、意外に鋭く疑問点を突っ込む。やがてある食べ物の件で嘘が破たんする。

ワンシーンのみ登場する予想外の名優たち。
アリスの父・平泉成の演技がザ・平泉成!ムダに名演。
アリス、花、センパイの3人で海のシーンでのトランプの想い出話に繋がっていた。

伊藤歩が木村文乃そっくり。
花の母親がキムラ緑子さんだったんだな。センパイがソファーで寝てるのに下着姿シーンが爆笑!ある意味で友だちの家あるある。

アリスのオーディション連戦連敗エピソードも可笑しい。キットカットや弁当をじつに不味そうに食べるw
ふせえり、大森南朋、北陽の虻川、叶美香、梶原善、ルー大柴、相田翔子、阿部寛、どのシーンも面白い。
ラストで広末涼子と大沢たかお!大沢の松尾れい子さんの扱いが酷い。

おにぎりを食パンで挟んだおにぎりサンド!w 取っ組み合いのケンカのシーンの直後に疲れてバスで寝てるシーンとか、すごくいい感じ。笑いの質とセンスがいい。
文化祭のために落語を必死で覚えようとする花、ここから一気に青春映画っぽくなる。

ウソにウソを重ねた想い出と記憶。教室でのシーンでなぜかバックに鉄腕アトムの巨大バルーン。
落語の晴れ舞台に間に合わなかったヒロイン。ものごとってなんでもタイミングとその場の巡り合わせ。

落研部長の最低に下品な「粗忽の使者」をバックに、花の圧倒的ブサイク泣き!アリスのガチバレエ!何もかも名シーンすぎる。

この映画の高校生登場人物たちはもうみんな30代。テレビドラマのキャストとしては難しい年代に差し掛かる。落研部長・坂本真が一番活躍してるかも。

鈴木杏の親友で同級生・長澤まさみ(公開当時、堀越高1年生)はこの映画がうらやましかったはず。まさみはラジオ番組で落語をやってみたいと発言したことがあったのだが、それはこの映画の影響に違いない。
まさみも岩井俊二にアイドル青春映画を撮ってもらいたかった。なんで今に至るまで1本も岩井映画がないんだ?

この映画の雰囲気を持った作品を観たい。「花とアリス殺人事件」がアニメ映画だったことは残念。

「リリイ・シュシュ」とか「LOVE LETTER」とか「PiCNiC」とか「スワロウテイル」とか見なくていいから、若者よ、大名作「花とアリス」を観ろ!って言いたいw 落ち込んでる人にもオススメ。人生なんてそんな深刻に考えなくていい。

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