乃木坂を知ってすぐに「超能力研究部の3人」という映画が2014年12月6日に公開されていたことを知った。
見たい!と思ったのだが、公開から1年半経った今もまだDVDになっていない。この映画を見る手段はhuluの配信にたよるしかない。
ポスターや公開されてるイメージを見て「面白そう」って思った人には「絶対やめとけ!」って言いたい。まったくビジュアルから期待するような内容ではない。
この映画がとにかく見ていて困惑の構造。映画を撮ってるメイキングシーンも挿入されるのだが、これがぶっとんだ「フェイクドキュメンタリー」になっている。初めての映画撮影の現場に戸惑う3人…というていで。しかもフェイク部分のほうが多い。
フェイクドキュメンタリーって何?分かり易く言うと、贋物ドキュメンタリー。やらせ。
「山田孝之の東京都北区赤羽」が一番この映画の作風を説明する上で近い説明かもしれない。
これと同じような何とも言えない戸惑いを感じるはずだ。あ、これも山下敦弘カントクだ。このカントクの顔を見ればわかるように、マトモな作品ではない。
5枚目シングル「君の名は希望」(2013年3月発売)のMVは、山下敦弘カントクによる架空のオーディション風景という設定のショートムービーだったのだが、そこで生田絵梨花、橋本奈々未、秋元真夏の3人がオーディションを勝ち取った…ということになっていた。もうこの時点でフェイクドキュメンタリー。
そこから1年ほったらかしだったのだが、ようやく3人にこの映画の企画が持ち込まれる。
3日間におよんだリハの段階から「何か変だ」と感じ取った頭の良い秋元、「どっきりだったらどうする?」と不安を口にしていたという。
で、「どっきり」どころか「フェイクドキュメンタリー」と告げられたとき、3人はその場で黙って下を向いてしまったらしい。
そして、楽屋に戻り号泣。戸惑いながらも一生懸命に真面目に演技に打ち込んでいたのに、この仕打ち…。知らされていなかった怒りと悔しさと屈辱…。
またも大人たちにダマされた。乃木坂は結成以来ずっとメンタル的にキツイ仕打ちばかり受けてるな。3人が可哀想だ。大人たちは罪深い。
秋元とヤンキーのケンカシーンから漂うどんよりした空気がすごいw なんだこりゃ?
秋元を厳しい状況に追い込む山下カントクの演出によって、秋元がどんどん気分が落ち込んでる?
あ~、傍らで見てる生田さんもすごくテンション下がってる…と思っていると、すかさずカメラが楽屋でピアノ弾いてる生田にインタビュー。戸惑いつつも、それでも真面目に考えたコメントを続けて、やがて涙を流す生田さんが見ていてつらい…。
つらい?やっぱり3人はちゃんと解ってる?やっぱり素の反応?どっち?一体どこまでが台本?見てる側の頭がフル回転、疲れる。
「クソゲボ野郎」の件で演出に介入する現場マネージャーのあたりから何かおかしいと気づき始めたが、秋元のキスシーンで大モメのくだりを見れば、どんなに鈍感な人が見たとしても、全ておおまかな台本に基づく茶番だと気づく。
このシーンが抱腹絶倒。まるで「ガキの使い」のコント。こういう大人同士の言い争いってよく見るわ~。
「統括マネージャー舟木」を演じた山本剛史って俳優、怪演w コイツを見れば誰もがフィクションだとわかる。この映画のクライマックスw 本当にこんな人が乃木坂の現場を仕切ってるかのように錯覚したw
3人と舟木さんの車の窓越しのかみ合わない話合いシーンに笑った。乱入する真夏ファンにも笑った。
映画の中で衝突する生田と秋元、もうなにかもが嘘にしか見えない。やっぱ乃木坂の3人は役者だわ。一体、ほんの少しでも真実はあるのか?公開中、客席はかなりザワついたという。なに、この映画!
撮影現場に同じ大学の知り合いがいた!ってシーン、何も知らないで見てたら本当にそうだと信じてしまうじゃん!
もう誰も山下カントクの演出をマジメに聴かないんじゃないか?w テキトーぶっこいたそれらしいことを言うだけの人にしか見えないw
10年に一度あるかないかの、アイドル映画としては史上空前の問題作だった。
見ている側が現在地を見失うようなヘンテコな映画を作るという目的においては成功している。
こういうの、笑える人もいるかと思う。ハプニング映像とか好きな人、映画をみる目的が「戸惑うため」にあるという人だけが見ていい。
この企画に携わったすべての人に言いたい。この映画に期待してお金を払ったすべての人に対して「謝れ!」と。
だが、やっぱり見終わるとこの3人が好きになってしまう映画だったかもしれない。バスの中での「喝采」カラオケシーン、海ではしゃぐ3人、たそがれ独白シーンなどは名場面だったかもしれない。
撮休日に橋本が部屋を訪問したときの生田の顔が「生田プロ」の表情だったw 10枚目シングルのセンターに選ばれたときの生田と同じ表情w
たまたまやってきたバスに「乗っちゃったよ~イェイ」の橋本を見て、こんな軽い感じで旭川から上京して芸能界に飛び込んだのかなって思った。ファンならいろんな味わい方がある。
ぶっちゃけると各シーン自体は面白い。じわじわ来る。
アイドル映画としてはやっぱり傑作?虚構の先に見えてくる何か、わずかな真実のようなもの。
「なんかさ、最後までわけわかんなかったね」「楽しかったな」「楽しかったの?」w
映画のエンドロールとして流れる「君の名は希望」は格別。うっかり感動作だったかのように錯覚。
山下監督の作品が好きな人は、やっぱ見るべきw こんな事故のような映画が作られてしまう、この世界は美しい。
ちなみに、3人が海へ駆けてゆくシーンで、市川準監督の「つぐみ」に登場する同じロケ場所が出てきてびっくり。
PS. この映画のビジュアルを初めて見たとき、これって以前にEテレのワンセグ番組企画プレゼン番組において、前野朋哉&橋本愛でパイロット版が作られた「ねんりき!北石器山高校超能力研究部」じゃないのか?!って思った。
「ねんりき!」も「シティライツ」という同じ原作マンガの一部が使われている。
橋本愛の「ねんりき!北石器山高校超能力研究部」について。あ、これも旧三崎高校だ!
橋本愛の天才ぶりがすごい。ヒロインの変態性がさらに強調されている。
いくちゃんを見たとき、橋本と同じ!って思ったけど、橋本はメガネかけてなかったし、髪が長い。
橋本愛の狂気!w できることならこの「シティライツ」という作品は、橋本愛版でフツーに映画化されたほうがきっと面白かったw
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