2015年5月31日日曜日

市川雷蔵 「陸軍中野学校」(1966)

市川雷蔵の映画を初めて見た。自分はこの人をもっと昔の人だと思っていた。37歳の若さで亡くなっている。この人に時代劇以外の出演作があったって知らなかった。

陸軍中野学校(1966 大映)という映画を選んだ。監督は増村保造(1924-1986)。
なんとこの映画が陸軍中野学校を初めて扱った映像作品。存在が長い間秘密に包まれていた。

昭和13年、帝大卒の三好中尉は入隊早々に、連隊を訪れた参謀本部の草薙中佐(加東大介)を名乗る人物から「頭脳明晰で優秀」ということでスカウトされる。

優秀な若者たちが集められ、「今日から君たちはスパイになってもらう」「名前も過去もすべて捨ててもらう」、この中佐のきまぐれのせいでどんだけ若者が迷惑してるんだか。

「は?自分は出世するつもりで軍に入ったんですけど」「弁護士になるつもりなんですけど」って思ってても、上の階級には逆らえないのが軍隊。酷い。
自分ならハッキリ断りたい。中佐にまんまと乗せられる。他人が知らない情報を知ってて陸軍で威張りたいからだろ。
維新の志士になったつもりで欧米の支配に苦しむアジアを救うべく理想に燃え、絶望的な戦いに挑む若者たち。

情報源として女を利用する授業では黒板にでかでかと「性感帯」と書いてあるのに失笑。遊郭で「実習」まで…。中野学校の生徒たちに悲哀を感じた。やがて不祥事を起こした仲間も粛清するカルト組織へ。

人気シリーズの第1作、自殺者も出る厳しい訓練の後に、英国領事館の暗号を盗むことに挑む。恋人・雪子(小川真由美)は消息を絶った三好中尉を捜し求めて参謀部のタイピストとして勤め始めるのだが、雪子も英国側に参謀本部の情報を漏らしていた。

面白かったか?うーん、微妙。

市川雷蔵がかつての恋人をも始末する非情なスパイなのでヒーローでもなんでもない。市川がナレーションも担当してるけど喋りが今聴くとすごく爺さんっぽい。これが昔の時代劇役者の喋り方なんだろう。

2 件のコメント:

  1. 市川雷蔵の独特の喋り方は歌舞伎役者だったからです。滑舌の悪いしゃがれ声が、外見の印象と違っていて渋くて好き。
    最近もBSで「眠狂四郎シリーズ」を連続放送していました。作品によって出来不出来が激しいけど、B級を極めたような楽しさがありました。「忍びの者」や「陸軍中野学校」があまり放送されないのは、同じシリーズものでも、イメージが暗いからかもしれません。雷蔵は眠狂四郎のような正義のヒーローもやれば、「大菩薩峠」のようなニヒルな悪人もできる。虐げられた弱者や、市井に埋もれた一見平凡そうな殺し屋も演じる。昔の時代劇役者には珍しいタイプだと思います。役者よりスタッフと仲良く付き合う、演技に熱心で真面目な人だったそうです。
    市川崑監督の「破戒」が良作ですが、自分的1本は「ある殺し屋」(これは比較的レンタルしやすいです)ストイックな一匹狼の殺し屋が素晴らしい。外国でも評価されたようです。

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  2. あ、針で刺して殺すってやつ?そっちを見ようかって迷って中野学校を選んだ。いずれ見てみる。あと市川崑の作品も興味あるのでいずれ見てみたい。たしかに今こんな喋りをする人はまったくいない。眠狂四郎はあんまり興味を持てないかも…。

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