2026年10月20日火曜日

米澤穂信「満願」(2014)

米澤穂信「満願」(2014)の新潮文庫版をもらって2年なので読む。米澤穂信をひさしぶりに読む。6本収録の短編集。

夜警
交番巡査が殉職した部下の川藤について回想。川藤の兄に当時の状況について想い出しながら話してるうちに、見えていなかった真相に思い当たる。相応しくない人物を警察官にするべきじゃなかった…。

死人宿
別れた佐和子が栃木の山奥で仲居として働いているらしい。秘境ともいえる温泉宿に辿り着くとそこに佐和子。しかしその温泉の近くの河原に有毒ガスが出るくぼ地があり、自殺の名所として知られる場所が。そして、3名しか宿泊客がいない宿の脱衣所で「遺書」らしき封筒が見つかって、それを書いた宿泊客を探そうと男女が奮闘。

柘榴
甲斐性のない生活無能者の夫と離婚をしなくてはと考え始めた妻。娘姉妹の親権をめぐって離婚調停に入ったのだが、意外な展開。嫌な短編。

万灯
役人への賄賂が横行する腐敗国家バングラディシュで天然ガス田開発のために奮闘する企業戦士。だが、その村の長老が開発に反対してる。同僚は村人によって半殺し。開発プロジェクトは頓挫か?
しかし、メールで呼び出され村を再訪。反対してるのは若い留学経験のある長老。他の長老は開発に乗り気らしい。そこで知り合った仏企業で働く日本人と一緒に反対派長老の殺害計画が持ち上がって…。松本清張で見る様なノワール転落劇。

関守
都市伝説ライターが死亡事故多発の峠道にあるドライブインへ聞き込み調査。独りで店を切り盛りする婆さんが4件の自動車が崖から転落した事故をよく覚えていて…。
これは「まんが日本昔話」の恐怖回のような味わい。これは単発ドラマにしても面白そうだ…と思ってたら、2018年にNHKでドラマ化されていた。

満願
畳屋に下宿する司法試験浪人生が主人公。実家からのわずかな仕送り。家賃の支払いが滞っても親切に応援してくれるおかみさん妙子が立派。しかし、畳屋の主人は自分をあまり気に入ってない。不誠実で商売の才もない畳屋は左前。
そして、妙子は借金取りを殺害。弁護士になっていた青年は妙子を弁護。正当防衛を主張。もっと刑を軽くできそうだったのだが懲役8年が確定。もうすぐ出所。
だが、弁護士青年は犯行現場にあった達磨の禅画掛け軸の血痕に関して、真相かもしれないとある点に気づく…。

どれも純文学風のタイトルが良いしレベルが高い。どれを読んでも面白いというか後味悪いw 特に印象に残ったのは表題作と「万灯」と「関守」。田舎に1人で行ってはいけない。

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