昭和9年9月に東京市中野區江古田の楽浪書院より刊行の内田百閒「お伽噺集 王様の背中」を読む。昭和49年ほるぷ出版復刻版で読む。これも数年前にBOで110円で購入したもの。
内田百閒作の9つのお伽噺童話を収録。百閒の序文によれば「この本のお話には、教訓はなんにも含まれて居りませんから、皆さんは安心して讀んで下さい。」「どのお話も、ただ讀んだ通りに受け取って下さればよろしいのです。」とのこと。
そして版画挿絵は谷中安規(1897-1946)。どのページの挿絵も素朴で異常に味わい深い。
- 王様の背中
- 影法師
- 狸の勘違ひ
- お爺さんの玩具
- 桃太郎
- かくれんぼ
- 三本足の獣
- 狼の魂
- お婆さんの引越
どの話もとても味わい深い傑作。大人が読んでも楽しい。子どもよりも大人のほうが楽しめる。
「王様の背中」とかオチも何もない。ひたすら背中が痒くてたまらないというカオスだしシュールな展開のみ。
「影法師」「狸の勘違ひ」は子どもたちにそういう視点もあると教えるような話。
「三本足の獣」と「狼の魂」は怪談と言えるかもしれない。
「お婆さんの引越し」は風景描写のみで理由を何も示さない。これは現代にもそのまま哀しい風景。社会派。
「桃太郎」は世間一般に知られた桃太郎と視点が異なる。赤ん坊を包み込んでた桃のその後に注目。読んだ誰もが呆気にとられる。
個人的にいちばん好きだったのが「かくれんぼ」。よく考えると子どもの遊びはつねにカオス。

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