岩波文庫「中谷宇吉郎随筆集」樋口敬二編(1988)を読む。友人とそこにあったBOに立ち寄ったとき友人が買ってたものを拝借して読む。
中谷宇吉郎(1900-1962)という人は雪の結晶の研究をしてた人という知識しかなかった。いつ頃の人かも知らなかった。明治末に石川県片山津に生れ四校から東大理学部物理学科、寺田寅彦門下で理研を経て英国留学、そして北大助教授という、昭和初期から日本の知のエリートとして有名人。
てっきり物理学博士の書いたエッセイ程度ぐらいに考えていたのだが、この人の書く随筆(大正末から昭和30年代まで順不同に掲載)がほぼ文豪のそれ。
極寒の北海道での雪の結晶の研究の日々について書いたものは45ページまで。あとは幼少のころの思い出、科学教育への意見、九谷焼、南画、寺田寅彦先生、千里眼、などなど、その内容は多彩。
戦前、戦中、戦後それぞれの時代の雰囲気を伝える40篇。終戦直後の鉄道事情や宿泊、流言飛語など、ドラマではあまり見たことのないエピソードが興味深かった。
明治男なので子どもたちには優しいのだが夫人は叱りつけるなど、今読むと昔の男は酷いなと感じる面もあった。

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