NHK未解決事件新シリーズFile.02は「北朝鮮による拉致事件」。10月18日に放送。
これを聞いてちょっと意外だった。未解決事件って犯人も目的もわかってない事件の真相を追うシリーズだと思ったから。でも、拉致被害者が家族のいる実家に半世紀経とうとしてるのに帰れないという状況は未解決と言っていいに違いない。
まずドラマパート。日本国内で工作活動に暗躍する北朝鮮のスパイたちを追う外事警察の刑事と幹部たち。高良健吾、沢村一樹、榎木孝明といったキャストで重厚に。
まだ誰も北朝鮮が日本国内で国家の主権を侵害するスパイ工作活動をしてるなんて信じてない時代。外事警察はかなり早くから事件に深く接近していた。北朝鮮協力者の尾行やマークなど、地味に神経をすり減らす長い長い苦闘の日々。
相次ぐアベック失踪事件は北朝鮮による拉致…という可能性を報じたのは産経新聞だけ。信じられるのは産経だけ。他の大手マスコミは完全スルー。
その責任は重大だが、当時の日本の雰囲気と戦後の平和な社会で育った人々に、まさか外国勢力が日本で人権を蹂躙するような事件を起こしていたとはとても信じられなかったのも仕方ないかもしれない。
一方、柏崎の海岸で恋人といっしょに拉致された蓮池薫さん役は田中俊介。北朝鮮での日々が描かれる。蓮池さんの奥さんを演じた人がすごくリアルにそっくりで驚く。
蓮池さんや曽我さんが生還できたおかげで、こういったドラマの細部が描けてる。北朝鮮工作員チェ・スンチョルを演じたのは大倉孝二。いい意味で見ていて腹の立つ軽薄さとバカ演技で感心。
沢村さんと榎木さんが…というシーンはどうしたって新旧の浅見光彦!って思ってしまったw
いやもう見ていてイライラする。関係個所の家宅捜索が政治側からストップがかかるとか、現場の刑事たちはやりきれない。
東京高等検察庁の偉い人の冷たさと関心のなさが酷い。軍事政権下だった韓国当局と捜査と証拠集めで協力するなんて無理。すぐ「難しい」とか言い訳してやるべきことをやらない。なのに偉そう。こいつらは実名を出して描くべきだった。
辛光洙事件、大韓航空機爆破事件から事件はつぎつぎと明らかになっていく。だが、それでも事件の気の遠くなるような解決に向けた進展の遅さに呆れる。もっとどうにかならなかったのか。
ドキュメンタリーパートも見た。
北朝鮮に交渉の現場で拉致事件の話を出すと怒りだして席を立つとか何なの。後に金正日が事実を認めて5人帰国させたのはなんなの。国と国との真剣な話し合いのテーブルで嘘つきって恥ずかしくないの。
金丸と田辺が訪朝するタイミングでの警察への介入があったに決まってる。
家族会の親たちで最後の生き残りになってしまった横田早紀江さんの「こんな人生もう二度と嫌」って聞いた瞬間に固まるほど衝撃的につらい。
拉致被害者の中で、今で言う闇バイト感覚で北朝鮮に渡った人はたぶんほんのわずか。900人近くに上る人々のほとんどがなんの落ち度もなく暴力的に連れ去られた。拉致被害者全員の奪還のためにはイスラエルがガザにやったようにしないかぎりムリかもしれない。
もう北朝鮮に35年間の植民地支配の賠償なんて考えなくていい。これでチャラ。






0 件のコメント:
コメントを投稿