光文社カッパノベルズ松本清張短編全集7「鬼畜」(1964)の2003年3版のわりとキレイな個体がそこに110円で売られていたので連れ帰った。パラパラめくってみて全てまだ読んだことのないものっぽかったので。
すべて昭和30年代の短編。では順番に読んでいく。
なぜ「星図」が開いていたか(週刊新潮 昭和31年8月20日)
3日間のハンガーストライキから帰宅した夫(38歳教諭)の急死。夫は百科事典の「星図」の箇所を開いたまま心臓発作を起こしたらしいのだが、志望診断を書いた医師が不審に思って調べて見ると…。
これは正直いって特に感想もない。今読んでも誰の印象にも残らない凡庸な短編。
反射(小説新潮 昭和31年9月)
愛人を殺して現金20万円を奪って銀行に預金した無計画すぎる男の犯行がバレるきっかけ。
もしこの作品で初めて松本清張を読んだのなら、松本清張はこの程度?って思われるかもしれない。
破談変異(小説公園 昭和31年2月)
家光の時代、江戸城中での能見物で見かけた16,17歳の美しい娘。自分の同僚の息子が年頃なので縁談につなげたい…と考えたのだが。
こういうキレやすい男ってそこに居るだけで怖い。
点(中央公論 昭和33年1月)
この短編が読んでて一番ムカムカした。宿泊してる旅館へ子どもを片道切符で寄越してくるやつ何なの?元警察官の共産党オルグ?潜入スパイ?生活が困窮してるから他人に金の無心。なのに一切感謝の言葉もないずうずうしく気味の悪い男。
甲府在番(オール読物 昭和32年5月)
急死した兄に代わって家督を継いだ弟が、江戸旗本たちの左遷先だった甲府へ。甲府在番になったら生涯江戸には帰れない絶望。同僚たちがみんな死んだ目をしてる…。だが一人だけ妙に元気なやつが接近してくる。こいつの目的は何だ?
終盤はサスペンスホラーな展開。兄は失踪していた?恐ろしい陰謀。ラストであいつらが出現したとき、まるで「TRICK」みたいだなと思った。てか、TRICKのエピソードとしてそのまま使えそうなネタ本だ。面白かった。この短編を読めただけで110円の価値があった。
怖妻の棺(週刊朝日別冊 昭和32年10月)
愛人宅で友人が急死。このままでは家督断絶。あの恐ろしく気が強い奥さんに事情を説明に行って善後策。だが予想もつかない事態が…。これはそのまま落語になりそう。この短編も好き。
鬼畜(別冊文藝春秋 昭和32年4月)
仕事が順調で羽振りがよかったために調子に乗って愛人を囲った印刷工。だがたちまち仕事が減って困窮。面倒を見切れなくなった愛人が家に押しかけてきて3人の幼い子どもを置いていく。似てないからたぶん俺の子じゃない…と、鬼嫁のやんやの催促もあってひとりずつ「処分」していく恐ろしい顛末。これはどんな顔して読めばいいのか?最悪。
嫌な話が多いのだが、「甲府在番」と「怖妻の棺」はオススメできる。
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