2025年5月17日土曜日

嶽本野ばら「ミシン」(2000)

嶽本野ばら「ミシン」(2000 小学館)を読む。この作家の本を初めて手に取った。「世界の終わりという名の雑貨店」を読むために。この単行本がこの作家のデビュー作。

映画「世界の終わりという名の雑貨店」(2001)公開から四半世紀を経てついに原作本を開いた。
嶽本野ばらって、Novala Takemoto と表記すると初めて知った。「ミシン」も missin' と表記されている。

 「世界の終わりという名の雑貨店」
主人公の独白語りで進行するので、まるで谷崎や夢野や乱歩でも読んでるような感覚。
読んでて映画とまるで設定も雰囲気も違っていて驚いた。舞台が京都だった。それに元ライターで雑貨店を始める男に名前がない。しかも、この店にやってくる少女にも名前がない。お互いに名前を知らない。

少女の顔半分に痣があるという設定に驚いた。しかも失語症?!
男の印象も違う。この男はファッションにこだわりを持っている。ヒロイン少女とキスしてる。
ビルのオーナーから追い出された男は少女を誘って津和野へ出かける。行き先で何度も性交渉。女子高生とそれは…。

案の定、警察に逮捕される。少女は入院。だが、少女の母親が興信所を雇って男の住所を突き止めてやってくる。「会ってやってくれ」
なんと病院のベッドでもセッ〇ス。なにやってんの?

「ミシン」
吉屋信子や中原淳一を愛するヒロインは流行にも異性にも関心のない乙女。高1の秋のある日、テレビで音楽番組を見ていると「死怒靡瀉酢(シドヴィシャス)」というパンクバンドのボーカル・ミシンに強く引き付けられる。この人とエスの関係になりたい!

オタがアイドルと結ばれることを願うように、このヒロインも結縁を願いお百度詣りw
交際が噂されていたギターが突然事故で死ぬ。するとバンドはギターを公募。
ギターの弾けないヒロインは、路上ミュージシャンの販売していたカセットを同封して応募。そしてギターを購入しオーディションへ。

ギターが全く弾けないことを告白するのだが、なぜかミシンが「この子がいい」とご執心。

まるでクドカンが書く脚本のように滅茶苦茶で笑った。
文体が格調高いので「もしかすると文豪か?」と期待したのだが、読んでいて笑ってしまった。

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