昨年末から劇場公開中ののん主演映画「私にふさわしいホテル」を見てきた。
原作は柚木麻子。監督は堤幸彦、脚本は川尻恵太。音楽は野崎良太(Jazztronik)。配給は日活。
成人の日の午後、15時からの回で観客は友人と自分を入れて12人ほどだった。
のん(能年玲奈)の女優としての活躍は劇場映画でしか見れないし、昨年2月から全館改修中で休業中の「山の上ホテル」でロケ撮影した話題の映画。
文学新人賞でデビューしたペンネーム相田大樹こと中島加代子(のん)は、大御所作家の東十条(滝藤賢一)から酷評されたことで後に鳴かず飛ばず。
大手出版社文芸誌編集にいる大学の先輩遠藤(田中圭)に「助けてください」と土下座までするも、対応が薄情だしドライだし冷たい…。
以後、中島は東十条への恨みを晴らすために、自身が作家として売れるためにあらゆる手段で攻めに出る。…というストーリー。
劇場で見る映画は毎回軽いものを選びたいのが自分。これも軽いコメディだからと選んだのだが、予想通りの内容。
「半年後…」「二週間後…」などと場面転換していく映画なので、脚本として雑な印象も受ける。それはあまり繋がりを考えながら見る必要がない。真剣に見る必要もない。
東十条の家族に接近していく場面がまったくなかったのには閉口。おかげで、話題の若手女優髙石あかり(父東十条をエロ小説作家と蔑み嫌う)のシーンがワンシーンしかなくて逆にびっくりした。
あと、別のホテル支配人光石研の出演シーンがワンシーンだったのにも驚いた。
さらに、カリスマ書店員橋本愛の初登場シーンでその風貌にちょっと笑ってしまった。こんな目立つ格好した書店員なんて見たことがない。なぜにベレー帽?
作家としての自分を卑下しへりくだって愛想笑いで追従する中島に、初対面の瞬間から徹底的にドライすぎておかしかった。なのに、新刊本万引き犯を捕まえた中島に急に眼の色変えて感謝するシーンは軽くて安いコメディだなと感じた。
編集者田中圭がドライすぎて、まったくコメディ要素がない。このキャラにはほとんど共感できなかった。
冒頭からずっと怒りブチギレっぱなしのチェゲバラみたいな能年と、ずっと困惑の滝藤賢一だけがコメディを引っぱる。
80年代とはいえ、あんな川端康成みたいな和服姿の文豪っていたのか?
面白かったと言えるが、それは能年と滝藤の熱量の高いやりとりのみ。編集者遠藤の家族にサンタ凸シーンはスベってたようにも感じた。他の客席からまったく笑い声が起こらなかった。脚本として練り込みが足りないようにも感じた。
てか、なんでこの線で「あまちゃん2」として連続ドラマ化できなかったのか?
山の上ホテルもスウィートルームとその下の階の部屋とロビーぐらいしか映らないのは意外だった。
主題歌は奇妙礼太郎「夢暴ダンス」
0 件のコメント:
コメントを投稿