2024年11月15日金曜日

レイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」(1940)

レイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」(1940)を清水俊二訳のハヤカワ・ミステリ文庫(1994年43刷)で読む。処分するというので無償でいただいてきた30年前の文庫本。
FAREWELL, MY LOVELY by Raymond Chandler 1940
銀行強盗で8年刑務所に入っていていた大男のマロイは出所して昔の女ヴェルマに会いにナイトクラブを訪れる。すでに店は黒人たちの店になっていて、カッとなって黒人を殺してしまう。その場にたまたまフィリップ・マーロウが居合わせる。

粗暴な警察と無能な警官。マーロウはマロイを探す手がかりを求めて、黒人殺しの現場となった店の前のオーナー妻を訪ねる。荒んでアル中。

どういう繋がりかわからないまま、マーロウはマリオという男からよく目的のわからない宝石取引に立ち会わされる。金のために。
しかし、いきなり後方から殴りつけられ気を失っている間にマリオは殺されていた。律儀なマーロウは依頼人が殺されたことを恥じる。
この事件現場でアン・リアードンという女と出会う。

ここから先は大金持ち夫人やら警察署長やら精神科医やらと出向いて話をする。これがもう、昔のアメリカ人ってみんな短気で粗暴で嫌だよね……っていうw マーロウがかなり上品で真面目に感じられる。どうしてわずかな金のために、そんなに猪突猛進くらいついていく?マーロウはボコボコにされたり薬物注射されたり脅迫されたり。

自分、チャンドラーのフィリップ・マーロウは「長いお別れ」に次いでこの「さらば愛しき女よ」で2冊目だったのだが、どう読めば楽しめるのかがよくわからず困惑もした。自分にはチャンドラーはあまり合ってないなと感じた。

最後まで読むと、〇〇が実は〇〇で…というような驚きは用意されているのだが、それでも常日頃、刺激的な探偵推理ミステリーを読んでいる現代日本人読者を驚かせるものでもない。たぶんミステリー愛好家はこのハードボイルド小説を読んではいけないと思う。30年代40年代のアメリカ人はこれで十分面白い娯楽小説だったのかもしれないが。

タイトルがぜんぜん合ってないし過大評価だと思いながら読んでいた。最後になって「ああ、そういうことか」と。

昔のアメリカ人は警察官もそれなりに上流な人もみんな言葉が汚く粗暴。とにかく喧嘩早い。
ということは、戦後のGHQアメリカ人将校たちと渡り合わないといけなかった日本エリートは大変だったろうと思う。
自治体の首長も警察署長も悪党というアメリカを、日本人も笑っていられなくなってきた。

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