アーサー・C・クラーク「2001年宇宙の旅」決定版(1968/1990)伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫(1993)の2020年25刷を読む。
2001:A SPACE ODYSSEY by Arthur C. Clarke 1968/1990
この本は長らく読もうか迷っていた。あのよくわからない映画の原作だし。しかし、これを読まないと「宇宙の旅」シリーズを読み進められない。やっと重い腰を上げる。
300万年前の地球に出現した謎の石板はヒトザルに何をしたのか?
月面で発見された石板は人類にとって何か?
宇宙船ディスカバリー号のコンピュータ「ハル9000」はなぜ人間たちに反乱を起こしたのか?
そして唯一の生存者ボーマンはどこへ行き、何と出会い、どう変貌していったのか?
というあらすじが裏面に書かれているのだが、その疑問のどれにも答えがないw
スタンリー・キューブリックとどのように映画を作っていったのか?そこは作者による序文で触れられている。
このSF小説はほぼ映画と同じ。だが、活字で読むと映画の内容がよりわかる。
冒頭の類人猿たちの歩み出した歴史的な一歩と勇気。
ディスカバリー号のコンピュータ・ハルが間違った故障予告を出してからの、乗組員による疑惑とやりとりが緊迫してる。ハルが躊躇なくテンポよく乗組員たちを殺しにかかってきて怖い。
ボーマンがハルの中枢ユニットを取り外した後、映画版は急に意味がわからなくなっていくのだが、小説版はその後も土星観測ミッションと衛星への着陸ミッションを継続してる。
それを継続して生存者が帰還できる余裕があるのか?と思っていたら、とんでもないフェーズへ移行。映画だとスターゲート以後はトランス状態にさせられるのだが、活字でもずんずん未知の領域へ。
映画を見て意味が解らず小説を読んでみたという人も、意味が解らないと思う。
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