2024年1月23日火曜日

夏帆「天然コケッコー」(2007)

映画「天然コケッコー」を見る。原作はくらもちふさこ。監督は山下敦弘。脚本は渡辺あや。音楽はレイ・ハラカミ。配給はアスミック・エース。主演は公開時16歳だった夏帆
DVD化された直後に見て以来なので15年ぶりぐらいで見返した。

夏の島根の田舎風景にレイ・ハラカミの音楽。そして夏帆のナレーション。全校生徒6人の分校風景。登場人物紹介。みんなこどもたち。おもらししてしまう小1児童の面倒をみるのは中学生。

ヒロイン右田そよ(夏帆)のほぼ主観語り。ヒロインと同学年の転校生大沢広海くん(岡田将生)がやってくる。初めての同級生のイケメンぶりにポーっとなる。岡田将生は夏帆より2歳年上なので当時18歳だ。担任の先生が黒田大輔だったと今回気づいた。

転校生大沢くんが都会っ子で田舎にも子どもたちにも慣れていない。手渡された給食の果物がおしっこ臭くないか疑う。ヒロインの大沢くんへの気持ちは急速に冷める。「そよちゃん、どがんしたん?」

お父ちゃんが佐藤浩市でお母ちゃんが夏川結衣だ。家が大きな農家だ。移動販売の野菜屋トラックからスイカを買って縁側でだらだら過ごす。田舎の人々は近所の人々の噂話。
なんでそよちゃんはスクール水着着てるのか?近所の子たちと一緒に海へいくのか。このとき大沢くんが田浦の出戻り娘の息子だと知る。
大沢くんは田舎の子どもたちにとって異分子。なにげに避けていた怖い通り道とかずんずん行ってしまい、田舎の子たちを戸惑わせる。
飛び降り自殺者の出た橋の上で、小1のさっちゃんが「人がおる」とか言い出してパニック。そよは線路上で転倒しパニック。しかし大沢くんが冷静にそよを線路わきへ。大沢、頼もしいじゃん。
そよと大沢くんは初めてふたりきり。お互いにいいとこあるじゃんと気づく。

そよは大沢くんに町へ買い物につきあってくれと頼まれるのだが、そよはさっちゃんが膀胱炎になったと聞いて、自分がきつく言ったせいだと自分を責める。後ろめたい気持ちでさっちゃんに会いに行く。ここが最初の感涙ポイント。

そよの弟の浩太朗はすっかり大沢くんに懐く。だが父は田浦の家の孫と親しくするのは気に食わない。たしかに大沢くんは中学生男子なので危険な感じになりつつある。

とにかく中学生たちは田舎の暮らしに退屈そう。そよちゃんはそこにあった通販カタログ冊子を見て楽しむだけのものと思ってる。それは注文するためのものだと大沢は教える。なんか、そよちゃんの反応が新鮮。そんなにも世間を知らない?

通販ははがきで申し込む。郵便局へいくと郵便局員(シゲちゃん)も顔見知り。だが、無遠慮に家庭の事情を周囲に聴こえる声で尋ねてくる。
はがきを送ろうと思ったら締め切りを過ぎていてしょんぼり。大沢くんの着てる上着がほしくなる。対価は「チューしてもええよ」なんなんだこの女子中学生。

神社の夏祭りの夜。そよちゃんは篤子の前で「ダサい散髪屋しかない」と言ってしまい激しく後悔。そんな失敗ばかり。
この田舎町で唯一東京の風を吹かせるイケメン大沢くんを中学女子たちは意識。
祭の夜の帰りに軽トラの荷台で大沢くんの母親(大内まり)と初対面。明らかに田舎にはふさわしくない余裕のある大人のイイ女の雰囲気。タバコふかしながら「彼女?アンタのジャケット着てるじゃないの」

無神経でおっさんなシゲちゃん(衣服もダサイし興味のない神楽を解説してくる)はそりゃあ失恋するだろうけど、そのへんの描写をスサノヲの大蛇退治をバックになぜかながながと見せるヘンテコシーン。
興味のないことには興味ないとハッキリ表す大沢くんはやはり田舎にとって異分子。幼なじみ女子たちも意外にイジワルだと思ってたら、単に鈍感だっただけ?

そよの弟浩太郎は大沢くんの母に散髪してもらう。だがそこに散髪にやってきた父。なにやらもめだす。大沢母と父はかつて三角関係の痴情のもつれ?!田舎の人間関係はとても狭い。
大沢母が喘息持ち。ちょっとしたストレスで発作。このシーンを見て「超能力研究部の3人」でマネージャーとの修羅場で山下監督が過呼吸になるシーンを想い出した。

大沢くんと初めてのバレンタインデー。田舎者で世間知らずなそよちゃんは、幼なじみ女子たちも大沢くんへチョコをあげることにウエルカム。大沢「…」

小学校と中学校がいっしょの分校。中学生になった弟は制服になってとなりの教室。心配なのはさっちゃんより年下の子がこの村にはいない。小学生は2人だけ。どうなってしまうのか?まさか廃校?! 
修学旅行はそよの希望が通って東京へ。大沢にとっては1年前まで住んでいた故郷。生徒はそよと大沢くんの2人だけ。引率の先生が3人。これは効率悪いし、教育的目的を達成できるの?

そよちゃんは東京の人の多さに疲れ切ってホテルですぐ寝てしまう。田舎の方が好きだとわかっただけでもそれは勉強になったといえる。
大沢くんが東京の友だち(バカ男子)とホテルの前で会っている。いそいで部屋にもどって身支度を開始するカットがいかにも山下監督ぽくて笑った。

東京修学旅行編をぜんぜん覚えてなかった。東京土産がルーズソックスとか時代だな。
修学旅行から戻ると今度は父と母、大沢母の三角関係を疑るそよは悩む。
 
そしてそろそろ高校進学の準備。といってもこの地域には高校が2校しかない。え、男子が全員坊主頭なんて高校あんの?
大沢くんが東京へ行ってしまう…と考えるそよちゃんは毎日ぼんやり。

中学生女子あるある。田舎あるある映画なのかもしれない。みんなで学校に通い、そのまま大人になってそこにいるのが田舎。生徒全員で受験の結果を待ち、合格を喜ぶ風景が尊い。
忘れられた映画になりつつあるのはもったいないと感じた。夏帆も岡田くんも声質がとても良いと感じた。こういう映画をいきなりゴールデンで地上波放送してもいいのに。
主題歌はくるり「言葉はさんかく こころは四角」。この曲もすごく懐かしい。

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