アーチャーがこの本を書いたときは近未来を想定していた。小説で想定してた年代を越えた1987年になって、実在のケネディを大統領の名前に使用してしまったのを改めたかったので大統領名を変更。ストーリーはそのままに一部手直し。
ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer 1940-)を読むのは15歳のとき以来。この作家は元陸上短距離の選手にして英国議会保守党下院議員。1974年にカナダのエネルギー企業への投資に失敗してしまい、電話料金と子どものミルク代のために書いた「百万ドルを取り返せ!」がベストセラーになって作家に転身。なんと今も精力的に作家活動を続けてた。最新のものもいずれ読もうと思う。
アメリカ合衆国大統領を暗殺しようともくろむ犯行グループとFBI捜査官との戦いを描いてる。
正大統領の急死により、初の女性アメリカ大統領に就任したフロレンティナ・ケインを暗殺しようという謀議をたまたま耳にしてしまったギリシャ不法移民の男から、FBI捜査官で首都ワシントン支局長ニック・ステームズの元へ「FBI長官と話がしたい」と必死の訴え。
ニックは半信半疑のまま、銃創を負った男が入院してる病院へ。話に信ぴょう性がありそうだが、もうちょっと調査してみないと。
という矢先に、この憐れな証人は同室の耳の不自由な黒人郵便配達夫といっしょに喉を掻っ切られて殺されてる…。
そしてニックと同僚もポトマック川に沈んだ車の中から発見。サスペンススリラー映画のような展開へ。
そしてほどなく、この本の主人公はマーク・アンドリューズくん28歳(FBI最年少の下っ端)に交代。そこ、意外な展開。
この青年だけが証人とニックが殺された理由を知っている。どうしていいかわからずあたふたするぺーぺー新人。FBI長官と面会するアポを取らなきゃ…
容疑者は100人いる上院議員?動機は銃砲所持規制法案を廃案に追い込むため?!
FBIは犯行グループに察知してることを悟られないように追跡。
この若手捜査官マーク・アンドリューズくんが有能。ときにイェール大学学生を装って議会へ潜入捜査したりしながら容疑者を絞り込んでいく。
だが、暗殺実行グループに元FBI捜査官がいて、マークの単独行動に不審なものを感じ取る。「マークも殺してしまおう」謀略を計画する黒幕と殺し屋たちは非情。
証人が担ぎ込まれて殺害された病院の当直医エリザベスが美人だからと本気になってしまうマーク。(この女医の父親はデクスター上院議員。)
100ドルもかけたディナーとワイン。その夜、女医のジッパーに手を掛けたときに上司から電話…というコメディ展開。FBI捜査官はつらいよ。
大統領暗殺をもくろむ正体不明の上院議員と殺し屋。それを追うFBI。まだ、大統領にもシークレットサービスにも報告してない。「大統領に知らせますか?」
陰謀発覚から現行犯逮捕まで、わずか7日間の息詰まる戦い。英国作家らしいおしゃれなクライムサスペンス長編。ドラマ映画を1本見たような満足。
英国国会議員だった著者ならではの政治描写。フォーサイス「ジャッカルの日」を思わせる。てか影響を受けている。
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