黒岩重吾「斑鳩王の慟哭」(1995)を2021年中公文庫新装版で読む。
斑鳩の厩戸はこの本の冒頭ですでに38歳。推古女帝と協力してクニを治めました…という知識しか持ってなかったのだが、欽明大王の檜隈大陵へ堅塩姫の埋葬方法をめぐって偏屈老婆になりつつある推古と対立中?!
基本、厩戸が民を憂い、善政を敷きました…という従来のイメージ通りのスタンス。すでに冠位を定め、十七条憲法も存在する。ほぼずっと厩戸主観。
推古女帝、生母の穴穂部間人皇女がぜんぜん厩戸の話に聞く耳持たなくなってる。あとは馬子、蝦夷とのやりとり。息子の山背大兄王、部下の調子麻呂とのやりとり。刀自古郎女は既に亡いので想い出。
全体の5分の3ほどの地点で厩戸が死去。推古や馬子よりも先に亡くなってしまう。
ここから先が歴史小説として面白くなっていく。さらに推古も馬子も亡くなると、蘇我入鹿が暴走。追い詰められる山背大兄王。
そして憐れにも斑鳩の上宮王家は滅亡させられる。
巻末には系図やら地図やらの資料。そして黒岩重吾氏と梅原猛氏の対談ページ。
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