2023年12月17日日曜日

西野七瀬「イチケイのカラス」(2023)

1月公開の「映画 イチケイのカラス」を見る。監督は田中亮。脚本は浜田秀哉。
主演は竹野内豊。音楽は服部隆之。制作はフジテレビ、研音、講談社。配給は東宝。

典型的なフジテレビメソッドで作られたフジテレビドラマ文法映画っぽくて見る気がぜんぜん起こらない。そもそもこのメインビジュアルがまったくダメ。黒木華がぜんぜん魅力的に見えない。

それにドラマ編をまったく見ておらず、基本設定とルールすらわからないまま見る。型破り裁判官が主人公なんだろうという知識以外何もない。西野七瀬が見たいがために重い腰をあげて見る。

本四連絡橋を行く黒塗りの車列。イージス艦事故をめぐる遺族と防衛省の争い?それは大きすぎる事件だ。

主人公入間みちお(竹野内豊)は岡山地方裁判所秋名支部長。
ヒロイン坂間千鶴(黒木華)は田舎町日尾美町のまち弁護士。田んぼの中の路を自転車で行く。商店街の書店の2階に事務所がある。婆さんのゴールド免許をめぐる退屈な交通事件で眠たくなる裁判。

同じ田舎町にいるイケメン弁護士月本(斎藤工)は客を奪いあう競合する同業者。正義の人権派弁護士。大きな雇用を生み出してる地元工場のパワハラ案件を担当。黒木と一緒に工場の配置換えと退職者に接触。「この工場には何かある」

井出検事(山崎育三郎)のチームと草野球?!その妻が水谷果穂。そこに竹野内裁判官が登場。
小日向文世と桜井ユキ(コンフィデンスマンかよ)は東京でイージス艦事件を見守る。ドラマの登場人物たち紹介シーンがつづく。

イージス艦事件の管轄は岡山。土井(柄本時生)と赤城(西野七瀬)岡山地方裁判所秋名支部の陪席判事として登場。
夫の墓前で防衛相幹部相手に刃傷沙汰を起こした田中みな実被告を見下ろす西野七瀬。
竹野内裁判長、職権発動でイージス艦事件の現場を再調査開始。いろいろリアリティを感じない。
齊藤と黒木の工場潜入捜査に職質警察官。なんと全力で逃げるw 自転車も借りパク?!相当に型破りな弁護士だ。

イージス艦側が回避行動をとらなかったという証言も?
田中みな実傷害事件の被害者で若きエリート大臣鵜城(向井理)が立ちはだかる。相当な国家権力者が相手。国防のためなら市民のひとりの名誉などどうでもいい。

シキハマという企業が徒党を組んで住民説明会を妨害。壮士か!明治時代か!シキハマの顧問弁護士尾上菊之助が見るからに冷たい悪徳弁護士。
健康被害があるかもしれないのに、環境汚染に耳をふさぐ地元住民って、あえて守る必要があるのか?何かあっても自業自得でいいのでは?

え、斉藤はタカリ法律ゴロ弁護士?!怒りに震える黒木。駅のホームでやけ酒してると竹野内裁判官が通りかかる。
弁護士とか裁判官って田舎でもそのへんをリュック姿や釣り人姿で歩いてるものなの?

弁護士の自宅に放火するとか超凶悪事件じゃないのか。
兄が弁護士であっても企業の前では弱者なの?いやな社会だな。
地元企業を訴えると弁護士も殺される?酷い地域だ。無法な戦国時代の村かよ。これは司法全体で立ち上がるべき事件。

竹野内はイージス艦の件で裁判から外された。しかし、環境汚染事件を調査すればイージス艦の真相が見えてくる?!
裁判官は裁判所を自分の根城みたいにしていいの?裁判官もふるさと納税?!裁判官がこんな雑誌記者みたいなマネを?
裁判官が自分で証拠を見つけ出してきて「これが真実です」とか諭すの?傍聴人ってあんなガヤみたいなことするの?

西野七瀬は脇役キャラにすぎないのだが演技の自然さに感心。不思議な魅力としか言いようがない。
まるで芝居のように裁判長、判事たちがつぎつぎにセリフを言う。こんな判事がいるとは思えない。
工場の産業医・吉田羊さんの法廷告白語り。どうして日本のドラマ映画はこういう脚本になるんだ。欧米だと徹底的に悪あがきするのに。
みんなが職を失うかもしれないけど、みんなが犯罪者になってどうする。その町はとり潰しじゃないか。

みんなですすり泣きとか、お白州とお奉行か。法廷内を歩き回って身振り手振りで演説かよ。
たぶんドラマファンへのアフターサービス娯楽映画。やっぱりフジテレビクオリティ。出演してる役者たちは日本映画はこれでいいと思ってるのかな。

裁判官も弁護士も楽しそうだな。でも視聴者からすると、つまらんとしか言いようがない。開始90分地点で超絶退屈した。
早く終われ!と思いながら最後までがんばって観た。たぶん数年後には存在を忘れられる映画。
でも、この映画で語られる架空の町とは自公長期政権の続く日本のことかもしれない。

主題歌はSuperfly「Farewell」

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