「夏への扉 -キミのいる未来へ-」(2021 東宝、アニプレックス)を見る。これはロバート・A・ハインライン作「夏の扉」(1956)の世界初映画化。監督は三木孝浩、脚本は菅野友恵。
主人公のエンジニア青年役が山﨑賢人。この俳優は毎回毎回チャレンジャーとしか言いようがない企画ばかり。
もちろん色々と設定を変更している。なんと1995年と2025年の日本に舞台を変更。まあそれは致し方ない。
だが、この映画の話題とか口コミとか一切聞いたことがない。原作を数年前に読んだときも、正直世評ほどには面白いと感じなかった。なのであまり期待せずに見る。
3億円事件のあった1968年から日本の出来事を振り返るのだが、どうやらパラレルワールド日本が舞台らしい。主人公の宗一郎(山﨑賢人)は幼少にして父を亡くして猫のピートを拾う。少年はロボット工学を学ぶ。やがて育ての親をも亡くす。主人公はすでに有名なロボット技術者。映像とナレーションで駆け足説明。
清原果耶が出ているので見た。育ての親松下博士の娘璃子。血のつながらない兄と妹的な存在。セーラー服にルーズソックス女子高生。聴いている曲がミスチルCROSS ROAD。日本の冬らしい寒色の映像。
さらに夏菜がやってくる。こいつが婚約者。ということは、原作を読んでいる人は「アイツか!」とわかる。しらじらしい詐欺師に見える。
株式を譲ったらたちまち豹変し株主総会。共同経営者眞島秀和と夏菜が組んで主人公宗一郎は取締役を解任される。自身の開発したロボット技術と会社を奪われる。自宅研究室からもすべてを盗まれる。酷い話やでまったく。「夏の扉」というタイトルからほど遠い不快なシーン。ちなみに社屋が高崎にある群馬音楽センターだ。
すべてを失った宗一郎の元には璃子しかいない。「ずっと好きだった」
宗一郎が行く場所が九十九里ビーチタワー。知ってる場所ばかり。
性悪女夏菜にいきなりインシュリンを首にぶっ刺され昏倒させられ無理矢理コールドスリープ。ほぼ殺人。
30年後に目覚めると、あれ?担当医が同じだ。猫のピートはどうした?
ピートと呼ばれる介護ヒューマノイドが藤木直人だ。この辺はまるで原作と違う。視聴者に説明する人物が必要ということか。
だが、30年眠っている間にコールドスリープ会社は破綻し全ての財産も失ってたという設定はそのまま。
さらに璃子の死も知る。コールドスリープで問題先送りが絶望的な浦島太郎という結果に。
あとは、つじつまの合わないことを確かめないといけない。30年経って太った夏菜が言ってた株券を持った男って誰?
話の入り組んだタイムリープと完璧な復讐の話。原田泰造が信用できるいい人でよかった。これ、原作読んでない人が一回見ただけで理解できるのか?もっと単純でないとラブストーリーとして人を感動させることはできない。
かの「夏の扉」を日本を舞台に実写映画化という難しいミッション。ラブストーリーをメインに大幅に改変。改変した部分と残したところの判断は良い。改悪!と言おうと構えていたのだが、予想していたよりも悪くなかった。スカッと爽快!清原果耶のおかげで見ていられた。
しかし、画期的な発明をする才能が有り、悪い奴らを不幸にし、かわいい女の子も手に入れるのは都合よすぎ。日本人はそこまで完璧な幸せを手に入れる青年を許容できない。
1995年の世界が、阪神大震災と地下鉄サリン事件の間であることに気づいてハッとした。だが、その件はまったく出てこない。
あと、2025年にヒューマノイドAIロボットはできてないと思う。
主題歌はLiSA「サプライズ」
0 件のコメント:
コメントを投稿