2022年3月17日木曜日

川端康成「花のワルツ」(昭和12年)

川端康成「花のワルツ」を新潮文庫で読む。表題作を含む4本の短編から成る一冊。配布されていたリサイクル品をいただいてきたもので読む。タダで手に入れたもので読む。

「イタリアの歌」(昭和11年)
スポーツ医学の研究室で不注意から起こった火災事故。若い博士とその助手が大やけど。博士は包帯ぐるぐる巻きで瀕死の重傷。女助手は手と足にやけど。
タイトルがなんで「イタリアの歌」なのか?
え、そこ?っていう箇所からタイトルを持って来る川端。ちょっとの余韻。

「日雀」(昭和15年)
読み方がわからなかった。「ひがら」と読む小鳥らしい。妻以外の女性と木曾や松本、日光で泊まった宿の「日雀」の話を妻に聴かせる男。おそらく夫もその相手の女性ももう覚えていないことを、語り聞かされた妻は覚えている。最後に妻が涙ぐんだ意味がよくわからない。

「花のワルツ」(昭和12年)
バレエの人々。バレリーナの鈴子と星枝。星枝はかなり気が強いし会話がつねにケンカ腰。
竹内バレエ研究所が家を抵当に入れて期待のダンサー南条を5年の洋行に送ったのに、帰ってきたら膝の怪我でバレエ廃人?横浜港まで迎えに行ったのに、南条は逃げ隠れ。星枝と南条の会話が面白い。この感じは三島由紀夫にも影響したかもしれない。

「朝雲」(昭和16年)。この本を読もうと思った理由は4本目に掲載されてこの短編が目当て。2004年フジテレビ深夜番組「文學ト云フ事」にて「ダイジェスト予告編」として放送された。
ヒロインの女学校生徒宮子(井手薫)が「あの方」と呼んで慕う美人の菊井先生を緒川たまきさんが演じてるのを見たから。
新任の最初の挨拶で「雲はその土地その土地で、形がちがうと聞いたことがありますけれど、ほんとうでしょうかね。」と語りかける。

ヒロイン宮子主観で語られるのだが、先生がなんだかとてもドライで冷たい印象。転任していくときも、生徒にとっては今生の別れであっても、最後もなんだかそっけない。でもまあそんなものだよね、という短編。とても平易。中学生でも十分に読めると思われる。

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