2022年1月4日火曜日

岩波新書765「伝わる英語表現法」(2001)

岩波新書765「伝わる英語表現法」長部三郎著(2001)を読む。
きまぐれで手にとって読み始めた。自分が岩波新書(赤)を読むのは学生の時以来な気がする。
この本はもう20年も前のものではあるのだが、今も広く読まれているらしい。ここに書かれていることは自分にとってもたいへんに新鮮で役に立つものだった。これを高校生の時に読んでいればその後の英作文での苦しみは軽減できたかもしれない。

この本でまず最初の衝撃が「国際情勢」という日本語を「international situation」などと訳してしまったら、英米人には意味が通じないということ。実際は「what's going on in the world」がふさわしい。
この本の著者は元通訳なのだが、「地形」を「topography」などと訳して言ってしまったら、相手はそれを「rivers and mountains」と言い直したという。

幕末に始まる日本の英語教育は外国の書物を読み、外国人から技術を学ぶことが目的。英文を読むためのツール。受験英語では自然とそれが求められる。日本人である自分の意見を外国人である相手に伝える必要はなかった。

英文を違和感のない日本語に訳そうとするとそこには「漢語」が挿入される。この漢語がひとたび入ると意味が抽象的となってしまい、今度は逆に英語に戻そうとしてそれを英和辞典で直訳してしまえば、たちまち意味がよくわからなくなってしまう。

英単語をひたすら暗記すれば入試英語の点数は上がるかもしれないが、単語主義では相手に伝わる英語を習得できない。
「book」という単語を覚えたとしても、この単語は通常「a book」もしくは「books」としか使われない。実際に使われる形態で覚えないといけない。

英語は日本語とまったく構造が違う。あいまいな日本語にない概念がある。常にそれが単数か複数か?数えられる物なのか数えられない物なのか?時制は一致しているか?それらに気を配り厳格にルールを守らないといけない。

英語には「並列」するときに厳格なルールがある。同質な単語を並べないといけない。「A, B and C」「A, B, and C」のような、日本語にはない表記の仕方をする。「並べて揃えてつなげる」ことが大切。

あと、日本人の会話が英米人からみると会話になっていないという指摘には笑った。日本人は独り言を相互に言い合ってるにすぎない。相手が天気やこちらの健康状態を聞いてきてるのに、それをスルーしてこちらの言いたいことを言う。それでは英語圏の人々ははぐらかされたと困惑するw 

なんでもちゃんと具体的に説明しないといけない。行間を埋めて書き足さないといけない。
そんなことを学んだ。英会話に不自由しない人はすでに身についてることかもしれないが。

この本は高校生大学生にひろくオススメしたい。夏ごろからSNSで「藪からスティック」に話題になった一冊。

0 件のコメント:

コメントを投稿