ブルーバックス「図解 台風の科学 発生・発達のしくみから地球温暖化の影響まで」(上野充・山口宗彦 2012)という本があるので読む。この本はわりと読まれているらしい。
自分、わりと気象学については勉強したのだが、10年ほどまったく触れていない。ときどき気象解説に耳を傾ける程度。(キャンプに行くときには天気図のほかに高層天気図で気圧の谷の位置を確認はする。)
何か知識を補完するために読んでおく。ブルーバックスを読むのは学生の時以来かも。
台風に関する知識のみの本。だいたい知ってることばかりだったのだが、第二種条件付き不安定(CISK)って言葉は記憶の奥底に沈み込んで忘れていた。
台風の目はアイウォールという雲の壁ができるのだが、その外側にもアイウォールが世代交代することを知らなかった。(スパイラルレインバンドと違うの?)
台風の目が楕円形や鉛直方向に傾いているときの渦としての中心点と地上気圧の最低地点がズレて「トロコダイル運動」を描くという点もまったく習った記憶がない。
台風中心部の降水量は移動方向でなく鉛直シアー前面左寄りで最大という事象もこの本で初めて知った。
気象衛星写真は可視画像、赤外画像、水蒸気画像は見慣れてるけど、マイクロ波による氷の粒のある場所の立体映像は見たことなかった。
ハリケーン・イザベル(2003)における目のなかのアイウォールメソ渦多角形構造とかも初耳。初見。
あと、地球温暖化によって熱帯性低気圧の発生数は減少するという計算予測結果はどうやら正しいらしい。そして台風が大型化するのも正しいらしい。水平方向にも高さも大型化した台風中心部の降水量が5割増しするらしい。(疑問視する声もある)
この本、「図解」ということなので、熱力学とかコリオリ力についての説明で簡単な数式すら出さない。入門者はそれでいいのかもしれないが、図と文だけではむしろわかりずらいこともある。
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