長澤まさみ出演のSPドラマ「広島・昭和20年8月6日」(2005年8月29日放送)を見る。放送当時に地上波アナログで録画したDVD-Rを見る。再生がいろいろとギリ。
これはDVDソフトとして販売されているらしいのだが実物を一度も見たことがない。ほしい。再放送か配信をしてほしい。(してるのかもしれないが知らない)
当時のまさみは高校3年生。この時期は「ドラゴン桜」が放送中。さらに主演映画「タッチ」の宣伝もしていた。この時代のNo.1アイドル。
人生の一番楽しいはずの青春の時期が、日本史上もっとも悲惨な戦争と重なってしまった不運な人々。広島に暮らす矢島家の三姉妹と末っ子の弟の4人家族の物語。みんなその日をささやかに、懸命に暮らしていた。
長女松たか子、次女加藤あい、三女長澤まさみ。当時の主演女優クラスを集めたかなり豪華なキャスト。だがここでは長澤まさみのことだけにしか触れない。
3人にそれぞれの物語がある。まさみはバレエに憧れるも勤労奉仕工場労働という毎日。
遠くで空襲はあってもなぜか広島には空襲がない。漠然とした不安を抱えて生きている。勤労奉仕の疲れとストレス。ヒロインは休み時間に同世代の少女とお喋りして暗い気を紛らわせる。同じ工場で働く女の子がある理由で将校から目の仇のようにイジメられている。この将校は憲兵?兵士は戦場へいくことが名誉。戦争が激しい最中に本土に残って少女たちを監視してるだけの簡単なお仕事。あまりにつらいので逃げ出したら、その憲兵が執拗に、本当に邪悪な感じで執念深く追いかけてくる。このドラマで一番印象深いクライマックス。てゆうかほぼそこがメイン。路面電車の走る街をまさみと少女は逃げ回る。日本の憲兵も世界各国の独裁国家の秘密警察のよう。人間は一体なぜそこまで間違った方向で仕事に全精力を傾けられるのか?
逃げおおせてほっとする。姉加藤あいは恋人玉山鉄二と結婚。ああ、よかったね。というそのときエノラゲイがやってくる。
このドラマは懸命に生きたその先に原子爆弾投下という、さらに理不尽な悲劇が待っている。
この一家は産業奨励館のすぐそばに住んでいた。戦争で苦しいなりに楽しみもあるささやかな暮らしが閃光とともにホワイトアウトで消えていく。なんとシュールな展開。熱線によって一瞬のうちに消滅できた人はまだマシだったのかもしれない。身内や親しい人が全身大やけどで苦しんで数日後に死ぬとか…とてもじゃないが耐えられそうもない。
米国は人類史上初めて核兵器を一般市民の暮らす町に投下する栄誉を歴史に刻んだ。ヒトラーもスターリンも毛沢東も成し遂げていない偉業。その人の名前はハリー・S・トルーマン。アメリカ人を怨んじゃいないが、アメリカ人に会ったら「人類史上唯一ってすごいよね!」って言ってやりたい。艦船も航空機もほとんど失い敗戦濃厚の、一般市民の暮らす都市で最初に新型兵器を試そうっていう発想はなかなかできることじゃない。底知れぬ悪意を感じる。
ちなみに、このドラマのロケは上海。あの上影。のちにまさみが語った情報によると、ここはロケ飯が超不味いんだそうだw 日本のロケ弁が美味しすぎるのかもしれない。あと、工場労働シーンは静岡県島田市の某有名ロケ地。ここでまさみは全撮影を終えた。
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