村上龍(1954-)が武蔵美大在学中の24歳の時に発表した「限りなく透明に近いブルー」(昭和51年)を講談社文庫(昭和60年第16刷)で読む。
累計368万部という驚異的に売れ続けてる本。群像新人賞、芥川賞を受賞しベストセラーになった有名作だがまだ未読だったので。
70年安保当時の村上龍は長崎佐世保の高校生。団塊の世代よりも若い世代。上京して住んだのがなぜかやっぱり米軍基地の街・福生。
70年代の初めごろの福生は作家、ミュージシャン、芸術家など、若く野心的な若者が暮らして交流してた。その時代の福生を知るために読む。
文庫裏には「いわゆるハウスを舞台に日常的にくり返される麻薬とセックスの宴」とある。どんだけヤバい街なんだよ福生は。
この本を中学生の娘に買い与えるには親は慎重になるべき。あらすじに「麻薬とセックス」とあるのは間違ってる。正しくは「酒とドラッグと、黒人米兵を交えた乱交セックスパーティーと暴力の日々」。全体の半分がほぼそれ。
芥川賞作品はすべて読みたいと思うような真面目中高生はこの内容を理解できないだろうと思う。
「ペニスが」「ペニスが…」うるせえ!w ところかまわずゲロを吐くな。迷惑。
ドラッグとセックスの毎日でラリって放心してボロボロな男が、沖仲仕(港湾荷役)の肉体労働ができるわけないだろう。
この本を読む前は、「それまで誰も書きえなかった小説を書いた24歳の天才とやらを見せてもらうか?」とページをめくっていった。確かに24歳の青年でしか書きえない詩的な文体ではあった。
だが、それほど感心まではしなかった。時代の寵児のデビュー作は自分には刺さらなかった。芥川賞選考委員にはこの作品に賞を与えることに強く反対した人もいたらしい。
そもそも主人公の個性が読後にまったく思い出せない。そんなものはないのかもしれない。そんな時代だったのかもしれない。
たまに横田基地を横須賀にあると思ってる人を見かける。平然と「横須賀の横田基地」とか言ってしまってる人をこれまで数回見かけた。基地に無関心な人はそんなまでに無関心。
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