2021年6月20日日曜日

夏帆「ブルーアワーにぶっ飛ばす」(2019)

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」(2019 ビターズ・エンド)を見る。脚本監督は箱田優子。TSUTAYA CREATORS' PROGRAMの応募作。

主演は夏帆。共演のシム・ウンギョンは2019年度日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞しているのだが、この「ブルーアワー」が日本での初出演作。おそらく、このふたりのコメディーロードムービーだと期待して見る。

CMディレクター砂田(夏帆)は仕事をがんばってる毒舌ツッコミ既婚女(こどもなし)。現場の空気を読みつつ大御所俳優に忖度仕事のクリエイター。この仕事を40過ぎてやってる人はいない。結婚してこども生んで面白い仕事をしてる人はいない…という現場。
仕事の打ち上げで管巻いてゲロを吐く。荒んでる。同僚のユースケ・サンタマリアとは不倫関係?
カラオケシーンの絶唱が地獄。夏帆もすっかり個性派女優。まだ20代なのに。
喫茶店で友人清浦(シム・ウンギョン)と「どう?」的な話。この女が日本語カタコトなのに日本人設定。悪乗りの調子者。
砂田は施設にいるばあちゃんの見舞いのために茨城に帰ることになっていた。
清浦は暇だし面白そうだしで茨城までなりゆきドライブ。ふたり、はしゃぎすぎ。行く道がロッキンに向かう高速。

茨城がどこいっても訛ったバカ高校生と子連れバカ主婦たち。けだるい午後。ゲリラ豪雨。実家の両親もクソ訛った田舎者。
南果歩演じる母親が老けすぎ。耳が遠くなっててテレビに大きな声でひとりごとツッコミしまくってるとか怖い。父でんでんが骨董の日本刀を自慢するとかも怖い。

田舎は田舎に住む他の住民たちの噂を批評するしかない。母が昔遭った痴漢の話始めるとか何なん?ふたりの周囲にはつねに他人の会話がノイズのよう。
なりゆきで清浦は砂田家に泊まる。小学生時代にノートに書いてたマンガを勝手に押し入れから探し出したりする。そういうあるあるシーン。風呂上りのTシャツ短パン姿の夏帆がいい感じ。

実家で両親と同居の田舎中学教師兄がキモすぎて妹ドン引き。女子生徒との性犯罪ジョークに恐怖しひきつってる夏帆の嫌悪感と演技がリアル。妹が兄と距離をとってる感じがリアル。他人に見せたくない兄感がリアル。

母も食事を作らなくなっていた。カップ麺とおにぎり。こうなるともう笑えない。みんなまるで知的障害でもあるかのよう。
都会で暮らしてきた娘は田舎家族の実態に恐怖のような感情を抱いていく。空気の変化のようなものがリアル。

気を取り直して田舎スナック。チーママホステス伊藤沙莉がモーニング娘を熱唱。来てる中年男客も下品すぎる下ネタセクハラがリアル。これはさらにテンション下がる。不味そうに酒を飲む夏帆の演技がリアル。
ディープ茨城の田舎をここまで酷く描いた映画は初めて見たw 闇田舎。ジブリアニメの田舎と対極。

施設でばあちゃんと久しぶりに会うシーン、爪を切るシーンはつらくて見てらんなかった。ずっと夏帆みたいな顔して見てた。
老いと終末もテーマなのか。日々農作業してると母親もこんなにも老けるのかと怖くなった。

だが、どこでも明るい人は周囲の人を救ってると思った。
92分という時間がちょうどいい。映画はこれぐらいの長さがいい。
ちなみに夏帆とシムさんはこの映画で高崎映画祭の主演女優賞。
音楽担当は松崎ナオ。主題歌は松崎ナオ「清く、ただしく」。

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