2021年4月25日日曜日

メーテルランク「ペレアスとメリザンド」(1892)

モリス・メーテルランク(1862-1949)作の戯曲「ペレアスとメリザンド」を岩波文庫の対訳(杉本秀太郎訳)版で読む。この対訳版は左ページに仏語、右ページに訳文がある素晴らしい文庫本。さらに出版当時の挿絵(Carlos Schwab)つき。
Pelléas et Mélisande by Maurice Maeterlinck 1892
自分、クロード・ドビュッシー(1862-1918)によるオペラ「ペレアスとメリザンド」は好きでカラヤンやアバドのCDを聴いてきてのだが、実はストーリーはなんとなくしか知らない。なので原文と対訳を左右と見て確認しながら読む。「ペレアスとメリザンド」はフォーレ、シベリウス、シェーンベルクも音楽にしている。

オペラは森の中で始まるのだが、戯曲では城門シーンから始まる。自分は知らなかったシーン。続いて森の泉のほとりでゴローが泣いてるメリザンドを見つけて城へ連れ帰る。そして後妻となる。

あとは、ゴローの弟ペレアスと若く美しいメリザンドの仲良さげな様子を目撃して嫉妬する話。ここ、現代のサスペンス作家たちならもっともっと上手く効果的に伏線を張ったりして面白く出来るはず。この戯曲は読む側が「?!」って考えないといけない。

ゴローが前妻との遺児イニョルドを使ってペレアスとメリザンドがふたりでいる様子を探るシーンはまんま古典落語「真田小僧」でみた要素。笑わせにかかってるのかもしれない。

表面上は、国王一家に若く美しい後妻がやってきたことで巻き起こる、嫉妬と愛憎のあげくの殺人事件。だが、肝心の箇所であまり説明がない。女中たちの会話から顛末を推測するしかない。メリザンドは未熟児を生んだ?

ペレアスと男女の関係がなかったかどうか?医者とアルケル王を遠ざけ瀕死のメリザンドを問い詰めるゴロー。部屋に入ってくる女中たち。ゴローに箴言めいたことを言うアルケル王。この場面がよく意味が分からない。表面上とは別の何かがありそうだ。

兄弟の母親であるジュヌヴィエーヴの存在感がまるでない。

第4幕第2場で病から回復したアルケルとメリザンドが話してるところにやって来たゴローの額に血がついていた意味は?メリザンドを罵倒するほど精神錯乱の原因?

第3場でテラスのイニョルド少年が石を持ち上げたり遠くの羊飼いに注目したりしたあとにパッタリと出番がなくなるのも意味が分からない。なにか意味がありそうでわからないとイライラするw

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