社会派推理小説の巨匠松本清張は古代史学に関しても巨人。このシリーズは全巻読んだはずだが、4年前にこの講談社文庫版を100円で見つけたので確保して積んでおいた。
歴史の本を読んだのは自分の人生でこれが初めてだった。もう15年以上昔の話。この本と出合うまで、歴史って暗記科目でしかなかった。教科書に書いてあることが歴史でしょ?と思っていた。古代史ってパズルや推理小説みたいに面白いと教えてくれたのは松本清張だった。
この本で清張先生は、日本人の多くが通常「魏志倭人伝」と呼んでいるものは、東夷伝の中の「倭人」というパートであることに注目。「倭人」は「People of WA」という意味でなく、「倭人」と「倭国」は同じ意味?!あと、朝鮮南部と九州北部にいた人々は同じ民族で、朝鮮南部が倭、九州北部が倭人、と陳寿は書き分けてる?!
伊都国の「一大率」とあるのは「一支率」の写し間違い?難升米は伊都国の王?
卑弥呼、伊都国、九州北部連合王国、楽浪郡、魏、そのへんを戦後の日本とGHQの関係に置き換えて説明するとか、清張せんせいらしい。
あと、「卑弥呼以て死す」の箇所を東夷伝夫余の条から似た箇所を持って来て、そしてフレイザー「金枝篇」から、卑弥呼は対狗奴国戦争に敗れるなど霊力が衰えたから殺された…という解釈を初めて目にしたのもこの本だった。
松本清張は福岡小倉の生まれ。なのでなのか知らないけど、邪馬台国は福岡県南部という説。ちなみに、この本が書かれたころはまだ吉野ヶ里遺跡は発掘されていない。
考古学に関する本は最新のものを読むべきかもしれないが、清張せんせいの意外な鋭い指摘を読むことがスリリングで楽しかったりする。
もうこの本を読んでいる人はあまりいないかもしれないが、自分はこの本が好き。ちなみに自分は邪馬台国は熊本県北部だと思ってる。
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