2021年3月6日土曜日

稲垣吾郎「悪魔が来りて笛を吹く」(2007)

2007年にフジテレビ「金曜プレステージ」枠で放送された稲垣吾郎版金田一耕助探偵2時間ドラマ「悪魔が来りて笛を吹く」は今日まで円盤化も再放送も配信もされていない(?)らしく、いろいろな動画サイトでどこかの誰かがUPした劣悪な画質のもので雰囲気を知ることしかできない。

今回、10年以上ぶりにDVD-Rを発掘して見てみたのだが、これが地上波アナログだし完全に録画できてなかったし、盤が劣化していてちゃんと見られなかった。一部が画像を抽出できたので13年以上経ってやっと感想を書くw 
もう昭和20年代の東京を描くにはこんなCGクロマキーを使うしかない。まるでゴシックホラー。こんな雰囲気のドラマが2000年代フジテレビドラマには多い。
奇跡的に焼け残った椿子爵家のお屋敷はこんな感じのVFX映像。建物のモデルは上野池ノ端の岩崎邸。よほどの大豪邸。
これぐらい家が焼失しているのなら、華族の方々が焼け残った屋敷で一緒に暮らしているのも納得。
椿子爵は榎木孝明。自分が今まで見た「悪魔が来りて笛を吹く」の中で一番暗く不気味でイッちゃった子爵。なんかすごいテンションと迫力で自作のフルート曲を譜面に書いている。
一人娘の美禰子( 国仲涼子)もそんな父を目撃してドン引き。国仲涼子の顔は大変に個性的。この驚いた顔がとても良い。最近は女優としてあまり見かけない気がする。

旧華族のお屋敷で起こるおぞましい連続殺人事件。
ちなみに、2007年ドラマ版の主要人物キャストは秌子が秋吉久美子、菊江が野波麻帆、目賀先生が伊武雅刀、玉虫一彦が渡部豪太、お種が浜丘麻矢、そして三島東太郎くんが成宮寛貴
事件のカギを追って須磨、そして淡路島。子爵の自殺の原因を探る。

稲垣吾郎の金田一耕助は今も人気が高いようだ。稲垣はプロアイドルなので人懐こい金田一さんを演じる素養は十分にあるようだが、あまりこの時代特有の男臭い感じがしない。
やはり石坂浩二金田一には誰も勝てない。
横溝先生の長大な作品を2時間ドラマに落とし込むには大胆な改変も必要。この2007年版は雰囲気が江戸川乱歩の世界に近い。玉虫一族を呪う何かが必要。真犯人にはロマンのある動機が必要。
そして金田一さんは真犯人を指摘。復讐の動機を示す。

自分はこれまでに稲垣吾郎版(2007)、西田敏行版(1979)、吉岡秀隆版(2018)という順番で見て来た。どれを見てもやっぱりストーリーとして絶対の完璧さに至っていない。正直、原作が一番レベルが高い。2時間のドラマにするにはもっと大胆な改変が必要かもしれない。

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