2020年6月28日日曜日

イミテーション・ゲーム(2015)

「イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密」(2015)を見る。これも英国現代史のお勉強。
「暗号解読」に関する本を読むと必ず出てくる英国の天才数学者アラン・チューリング(1912-1954)の悲劇を描く映画。

実は自分、ベネディクト・カンバーバッチという俳優の映画を見るのはこれが初めて。

チューリングこそが英国を対ドイツ戦の勝利に導いた最大の功労者。だが、ここに登場する軍人や同僚がことごとく無能。チューリングのやろうとしていることに無理解だし、チューリングマシンが回転して何をやってるのかもよくわかっていない。チューチングを邪魔してる。正直、こいつら邪魔だと思ったw 

結果が出ないとクビの危機。なのにどうして偉い人にわかるように説明しない?数学的にも技術的にも何も説明しない。
この映画、暗号やエニグマ暗号機のしくみについて事前に知識がないと、ひたすらちんぷんかんぷんだと思う。視聴者にも説明しない。

自分が事前に想像してたブレッチレー・パークのイメージと違う。チューリングにいたチームは英国の英知を結集したチームだと聞いてたけど、この映画だとそう見えない。小さな町工場みたいな場所に集められた数名の若者たちだけのチーム。これで難攻不落のエニグマを解読できたというのか?

暗号に関するどの本を読んでもチューリングが同性愛者だったことは書かれている。だがこの映画ではキーラ・ナイトレイ演じる美女とのロマンス的なものまで盛ってある。それ、本当?

中盤まで最初は総当たりでキーとなる言葉を探していたのだが、暗号って天気予報で始まって最後はハイル・ヒトラーじゃね?がブレイクスルー。すべての組み合わせを探す必要はないとひらめいた。

ここからUボートの位置や攻撃目標を解読できるようになった。だが、こちらが解読してることはぜったいに向こう側に悟られてはならない。暗号解読チームがそこまで考えないといけないの?英国政府高官に数学と戦略の意味がわかる人がいなかったからかもしれない。
綿密な計算で戦果と犠牲のバランスをとり、ドイツ側に暗号が解読されていることを悟られなかった。それどころか戦後もずっと知られてなかった。

この映画は1951年にチューリングの自宅に泥棒が入ったことを地元警察が調べるシーンから始まる。担当刑事が何か怪しいとにらむ。ソ連のスパイかも…。
ふざけるな。そのお方は英国を戦争勝利に導いた最大の功労者だぞ。頭が高い!
なにしろ極秘計画だったので、戦争終了と同時に資料を焼却処分して解散。ここで働いていた記録もすべて消去。

英国では戦後になっても同性愛は即逮捕される犯罪だった。結局、同性愛わいせつ行為で有罪判決。ホモセクシャルは薬物治療の対象。結果、チューリングは自殺。

チューリングの功績は政府上層部しか知らなかった。戦後50年経つまでブレッチレー・パークに集まった若者たちの奮闘は英国人すらも知らなかった。諜報活動に関わった者は何を仕事にしてるのかも他人に説明できない。

関心のあった歴史のひとコマだったので興味深く見れた。暗号が解読されるブレイクスルーとその瞬間は興奮した。ガシャガシャ騒々しく回転するマシンは本で読んでもイメージできていなかったので、この映像はありがたい。

しかし、エニグマ解読のブレイクスルー初期段階でポーランドチームの功績があったのだがまったく触れられていない。暗号技術史に感心の高い人には物足りなかったかもしれない。

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