2018年秋に公開されてた「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(アスミック・エース)という映画があるので見てみる。何の予備知識もない。
主演はたぶん阿部サダヲ。この俳優はリアルにバンドのボーカルとしても活動。おそらくパンクロッカー役。見た目的に遠藤ミチロウでザ・スターリンっぽい。
自分がこの映画を見た理由は吉岡里帆。実は自分はまだ1回もこの人のドラマも映画も見たことがない。綾鷹か「URであーる」というCMでしか動いて喋る吉岡を見ていない。自分の見たいと思うようなドラマにも映画にも姿を見たことがない。ただときどきタイムラインで水着グラビアでしか見たことがない。ただ、顔がめちゃ好き♥w なので見てみた。
とにかくパンクでアナーキーでカオスな展開とグダグダ会話をテンポよく見せる。
ふせえり、麻生久美子、岩松了、森下能幸、松尾スズキといった面々が濃いキャラで次々と出てきて「もしや、三木聡では?」と思い始めた。調べてみたらやっぱり三木聡の監督脚本作だった。
この監督、まだ映画作ってたんだ。ここ数年はまったく自分と合わない作風でぜんぜん見てなかった。
だが、今回の映画は吉岡里帆がビジュアル的に興味があったので、たまたま見た。
吉岡里帆の演技を初めて見た。おそらく、ヒロインのキャラに合わせた意図的な棒読みギクシャク演技。テンションの高い阿部サダヲとの対比のため。もしくは、京都人が標準語でテンポよくしゃべるとこうなるのかもしれない。自分はかつての本上まなみの演技を思い出した。能年玲奈もこんな感じだったかもしれない。
阿部サダヲという俳優は中規模の劇場ではスターかもしれないのだが、まだお茶の間テレビドラマの世界では受け入れられていないのでは?と思った。この独特のテンションとセリフ回しに世間がまだ慣れてない。「いだてん」が視聴率が悪かった理由はこの人のせいだと思ってる。
阿部はシンというカリスマパンクロックボーカルなのだが、行動がメチャクチャすぎて怖い。喉に注射針をぶっ刺して声帯をドーピング。統一感のないイッちゃった客に血反吐をスプラッシュするシーンを見て、感染症的にヤバいと思った。ほぼ犯罪者。
そのわりにマネージャー千葉雄大が普通。音楽事務所の社長田中哲司との男色関係?を想像させるシーンもあって驚いた。
吉岡里帆はストリートで歌うギタ女。声が小さいがためにバンドも分解。こんなギタ女が唄ってる姿を立ち止まって聴いてくれるような聴衆が、声が小さいという理由で「聴こえませ~んw」なんて嘲笑しないと思う。
阿部のせいで母が買ってくれたギターがダンプに轢かれるシーンはヒロインでなくても「あぁぁ…」と思う。楽器が壊されるのは気分の良いものでもない。
ストーリーについては何も言わない。おそらくハチャメチャな現代のファンタジー。日本というカオス。(2020年の今、我々はさらにカオスな現実を生きているが)
韓国を巻き込んで何をやってんだ?!と思ったのだが、韓国でロケはやっていないようだ。
音楽が20世紀初頭の現代音楽っぽいので「もしや?」と思ってた。やっぱりゲルニカの上野耕路さんだ。映画のテーマからすると意外で違和感。だがむしろそこが良いのかもしれない。
あいみょん feat.ふうか(吉岡里帆)ともいえるこの映画の主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」はとてもよい。この曲を歌う前髪ぱっつん吉岡のビジュアルがちょっとmiwaっぽかったが。
自分、15年前に今のあいみょんと出会っていればおそらく毎回ライブに出かけてたと思う。あいみょんにはまだまだ期待している。
もうひとつの主題歌はhydeといしわたり淳治による阿部シン歌唱の楽曲。
もっともっとバズってもよさそうな映画に見えるのだが、自分の目にはまったく届いていなかった。たぶんそれほど流行ってない。
やはり他人に説明しずらい映画は口コミが広がりにくい。どう見ていいのか戸惑う。
最後は韓国映画のよう。ちょっと感動作風。だが、外国人受刑者を射殺するのはどうなの?60年代韓国ならありそうだけど。
107分という長さがちょうどよい。結果、三木聡作品にしては意外に面白く見れた。見ていて飽きなかった。
だが、それは吉岡里帆への関心が高かったから。吉岡演じるヒロインの面白さが自分のこの映画への集中を保ってくれた。吉岡がヒロインでなければきっと見ていない。映画タイトルは「音量を上げろ!」で良かったのではと思う。
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