これ、中学生ぐらいのとき1回見たはずだった。だが、内容をほとんど覚えていなかった。
この映画は市川崑が1976年「犬神家の一族」まで映画を撮れなくなる因縁の映画。自民党河野一郎の怒りを買う。国民一般にまでコレジャナイと拒否感にあった映画らしい。
なんで?自分は十分に楽しめたのに。おそらく大感動作になってないから?
この時代の東京の町並みがグレー一色。高層ビルもまだ存在しない。東京五輪開会式は10月10日だったわけだが、やはり秋の長雨に観客も選手も寒さにブルブル震えてるシーンが目立った。
入場行進を見ると「えっ?」と驚く。中華民国台湾、アラブ連合、東西ドイツ合同チームなど。
この日の東京は気持ちのいい快晴。国立競技場の上空に五輪のマーク。これは日本が初めてやったことだが、とんでもない分厚いマニュアルと鍛錬によって可能だったことを知った。
この時代のアナウンサーの実況が今日の水準からするとわりと失礼w メダルに届かないとわかるや「日本の〇〇はダメっ」とまず結果を叫ぶ。ファイナリストになってる時点ですごいだろ。
それに映画のナレーションも失礼。初めて参加したチャドのたったひとりの選手の紹介が「父親は酋長で天然痘で死んだ」そんな情報いる?
代々木の選手村の風景とかこの映画で初めて見た。周囲の民家が映りこんでいるのだが、どの家の屋根にもテレビアンテナが見当たらない。この時代は室内アンテナの時代?
この時代は英国、ハンガリー、ポーランドがどの競技でも上位に顔を出すスポーツ強国だったらしい。
気になったことが選手の職業をアナウンサーが紹介するところ。「大工であります」「高校教師です」この時代のオリンピックは純然たるアマチュアの大会というてい。
水泳選手の競泳水着が今の水準からみると自由でカラフル。キャップやゴーグルをしてる選手がほとんどいなくて驚いた。
走高跳の有力選手のほとんどがベリーロールで跳んでいて驚いた。棒高跳びの着地マットがゴミ屑みたいで驚いた。
自転車競技が八王子で行われてたって知らなかった。すごい山の中を走ってる。市川崑はすごい場所にもカメラを設置してた。映画っぽいアングル。
割烹着にモンペ姿の主婦たちも沿道に出て通り過ぎる選手たちを見送ってる。こういうシーンが今の我々が見ると貴重。
マラソンを応援する子供たちがセーターやカーディガンに野球帽だ。こどもを背負った子どもという風景はもうすでに日本から姿を消した。
マラソンが甲州街道だったって知らなかった。新宿駅南口付近の雑然とした風景がすごい。
アベベ(エチオピア)が独走状態で国立競技場に戻ってくる。他の選手たちの消耗ぶりをみると10月開催でも東京は暑かったようだ。
男子10000mの逆転劇はオリンピック史上「世紀の番狂わせ」。たしかこのビリー・ミルズ(アメリカ)という選手はネイティブアメリカンの血を引いていたんじゃないか?クロスカントリーの選手じゃなかったか?
調べてみたら昔この選手の自伝映画「ロンリーウェイ」(1983 カナダ)を見たことを思い出した。
競技場のスタンド席に巨人軍の王と長嶋がいて驚いた。美智子妃殿下と現天皇陛下の姿も貴重。
オリンピック記録映画は毎回つくられているそうだが、これ以外に1本も見ていない。1936ベルリン、1980モスクワは見てみたい。大河ドラマ「いだてん」は6話あたりまでしか見なかった。
PS. 東京2020をどうせ延期するなら春とか秋とか行楽ベストシーズンにしてほしかった。肺炎にならなくとも日本の夏の暑さで死ぬ人も出るかもしれない。
来年夏になってもコロナは世界で収束してない可能性も高い。ワクチンと治療法が確立するまで次のパリ大会もできっこない。無期限延期するべき。
オリンピックはもうすでに過去の美しい想い出としか語られなくなったかもしれない。この世界は回復不能なぐらいに壊れてしまった。
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