2019年12月2日月曜日

横溝正史「幽霊男」(昭和29年)

横溝正史「幽霊男」を平成10年角川文庫「金田一耕助ファイル」シリーズで読む。杉本イラスト表紙の「幽霊男」は過去2回ほど見かけたことあったけど、ヘンテコな感じがして嫌なのでw、今回、読みたいタイミングで出会ったこの版で読む。これもやっぱり巻末に何も解説がない。
神保町の裏通りにあるヌードモデル仲介業「共栄美術倶楽部」に初めて現れた異相の男、その名も佐川幽霊男。彼の依頼を受けたモデルが、ホテルの浴槽の湯の中で殺され、そしてさらに……。
猟奇マニアたちの秘密の巣でもあったその倶楽部に金田一探偵が登場。右往左往しながらも、欲望に溺れて落ちたマニアたちの犯罪を鮮やかに解決!妖気漂う原色怪奇まんだら。
というあらすじがきが文庫裏に書かれている。自分が長年この本を読まなかった理由がこれ。つまらなそうw

実際、乱歩的な殺人鬼もの。「吸血蛾」と同じようなテイストで読んでいてバカバカしいw エログロ要素を盛り込んだ大人向けジュヴナイル金田一って感じ。

実際問題として、あんな気味の悪い男の仕事の依頼に対して、女の子を一人で派遣するなんて危険極まりない。案の定殺される。

「幽霊男」の金田一さんの防御率が酷いw ほぼすべての殺人を防げてない。
伊豆の温泉地ホテルのボーイに変装して登場するのだが、それ、自分の知ってる金田一さんじゃないw
小島で死体が発見される場面で、自分はこいつは怪しいと犯人の見当がついてしまった。

だがそれでも最後は二転三転する驚きはある。全体の雰囲気が下劣だが、この意外な真相とラストは良い。この犯人はとくに見苦しい。

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