谷崎初期の代表作「刺青」(明治43年)をふくむ短編7本を収録。
最近も読んだばかりの「刺青」が読んでいて一番美しい。握手会で男たちが群がる乃木坂欅坂の女の子たちを見たとき、少女よ、その男たちを肥やしにして美しくなれ!と思うw
秘密(明治44年)が「刺青」のつぎに好き。この2作がワンツー。
目隠しをされてとある婦人の家へ人力車で運ばれる話。ラストが印象的。明治の浅草界隈の町並みと風俗を知る。
少年(明治44年)
変態はこどものころから変態。あまりにSMちっくなこどもの遊びに口あんぐり。
幇間(明治44年)
自分、つい最近までこの単語の意味を知らなかった。落語を聴くようになってからこの言葉の意味を知った。この短編もまるで落語だが、相場師からプロ幇間へ転じた男の性癖と旦那からのドッキリ仕打ち。やっぱりまるで落語。
異端者の悲しみ(大正6年)
この大学生主人公が学校へ行かずに父親とケンカ。妹は肺病で危篤。友人から借りた金は返さない。もうなにもかもがだらしない。読む人は誰もがコイツを嫌うと思う。ところがこいつが作家本人の自叙伝w
二人の稚児(大正7年)
幼いころから比叡山に預けられ育った二人の稚児。15歳の千手丸と13歳の瑠璃光丸。世俗を離れているおかげで煩悩と無縁。だが、「浮世はどんなところだろう?」「女人とはどんなものだろう?」
やがて千手丸は山を抜け出す。そして音信不通。きっと人さらいにでも遭ったか死んでいる。だが半年後、瑠璃光丸へ千手丸から使者と手紙が来て…という話。
涅槃経「女人は大魔王なり。能く一切の人を食う。」仏教では女はそんな扱い。女と無縁な男はきっと徳が高い。
宝積経「一とたび女人を見れば、能く眼の功徳を失う。縦い大蛇を見るといえども、女人をば見るべからず。」
母を恋うる記(大正8年)
まんが日本むかし話読んでるみたいな感覚。
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