「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007 ファントムフィルム)をまだ見ていなかったので2018年末になってやっと見た。監督脚本は吉田大八。
原作は本谷有希子。以前この本を読もうとしたのだが途中で挫折。開始から小さな嫌なシーンだらけ。
いきなり交通事故現場シーン。血の量が異常に多い。どういう事故だったのかまったくイメージできない。
田舎で葬式のシーン。長男永瀬正敏の妻永作博美がまるで家政婦か下女のように扱われている。佐津川愛美が喘息の発作を出すと永瀬に突き飛ばされて床を転がるシーンからして異常すぎて可笑しい。田舎あるあるか?
やがてタクシーで乗り付けた佐藤江梨子に当然のようにタクシー代も払わされる。荷物も運ばされる。佐藤は東京で女優をしている。
これ、何で今まで見てなかったかというと、自分には佐藤江梨子が好きでないから。別に美人でも可愛くもないからw 体型がすごく逞しい。
演技は上手だと思う。異常に自己中心的で自信満々で周囲の気苦労が何も見えていない怪人物を怪演。女優になるための費用を平然と血のつながらない兄に払わせる。
映画賞を捕った有能そうな監督にはこちら側から接近。え、ファンレターを書いたりして?
田舎文房具屋の店先に10分300円のインターネットにびっくり。店番の男も容姿とファッションが可笑しい。
妹佐津川愛美は東京から戻ったデカい姉佐藤からイジメられている。「アタシが女優として上手くいっていないのはアンタのせいよ」
上京を親に反対された姉が家に同級生を連れ込んで性的なサービスでお金を得ている場面まで目撃。もう何から何まで最悪な女。三面記事になりそうな女。
オーディションで逆ギレとか、妹の裸の写真撮って売ろうとか最低w 同級生に美人局まで。
でも、姉を描いてこっそり応募し作品が掲載されてしまったマイナーホラーマンガ雑誌を、村人全員が読んでるのはさすがにちょっとないと思った。え、本名で応募したの?ペンネームでなく?
リアルな田舎人間関係あるある?すごく微妙な嫌味の連続。豊かでもない地縁に縛られて生きてかなきゃいけないとかつらいことだ。嫌な場所はとっとと出て行ったらいい。
でも、永作はその後どうなるんだろう?
後妻の連れ子が家庭を崩壊させていくブラックコメディ。見ていてひたすら嫌な気分。
だが、人によってはこういうのが面白いかもしれない。本谷もこの映画の佐津川のようにカリカリと戯曲を書いていたのかもしれない。
吉田大八は上手い!さすがだ!という映画だ。画がビシッと決まってる。
演出も必ず面白い。永作のシーンも面白い。居間で永作と佐藤がテレビ見てるシーンだけでも面白い。蕎麦に薬味を入れただけで激怒してめんつゆぶっかける永瀬w
音楽の使い方も巧みだ。本谷有希子作品の毒気との相性がとても良かったように思う。
主題歌はチャットモンチー「世界が終わる夜に」。
佐津川は10年ぐらい前のドラマではすごくよく見かけた。2018年は「コンフィデンスマンJP」で見かけてまだ女優としてがんばってることを確認できた。
ちなみに自分、15年ほど前、裏原宿でショップの紙袋いくつも抱えて颯爽と歩いている佐藤江梨子とすれ違ったことがある。
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