2018年11月24日土曜日

梅原猛 / 親鸞「四つの謎」を解く(2014)

梅原猛「親鸞『四つの謎』を解く」の2017年新潮文庫版がそこにあったので手に取った。なんと昨年に文庫になったばかりだというのに100円だった。

自分、親鸞という人物のことを浄土真宗の開祖ということ以外にほとんどしらない。
というか、高校日本史をスルーした自分にとって鎌倉仏教は今もよくわかっていないジャンル。自分の知識で着いていけるか心配だったのだが、ここで買っておかないとしばらく見つけられないかも…ということで購入。

梅原先生は旧制中学時代から「歎異抄」を読んでいた!以後ずっと親鸞について考えていた。
親鸞という人は90歳まで生きた。当時としては信じられないほどの長寿。で、この本は梅原猛大先生も90歳になって親鸞についていろいろ見えてきたことを書いた本。89歳とかで日本各地で取材フィールドワーク、90歳で机に向かって原稿を書くとか、ちょっと考えられないほどお元気。

まず、これまであまり研究されてこなかった疑問点4つを提示。
そして各地に出向いて調査して、従来の研究家たちから偽書だと疑われていた「親鸞聖人正明伝」(親鸞上人の玄孫である存覚による)がちゃんとした正しい本じゃね?と再評価。

そして「親鸞の母親は源義朝の娘なのでは?」という説を鍵に、まず「四つの謎」のひとつ「親鸞は9歳でなぜ出家したの?」という疑問に解答。源平の争う時代に生き残るためだった。

第2の謎が「比叡山で出世できただろうに何故に乞食僧同然だった法然に弟子入りしたの?」
それは、九条兼実の弟で4度天台座主に就いた老獪な慈円の都合?

第3の謎が「親鸞はなぜ結婚したの?」
比叡山を降りた親鸞は法然に弟子入り。九条兼実の娘と結婚するように法然からの指示?!この本を読んだことで玉日という夫人の存在を初めて知った。
第4の謎が「悪の自覚の謎」
「善人なほもつて往生をとぐ。いわんや悪人をや」という言葉に代表される悪人救済と自己の罪悪感の理由は親鸞の出自と時代背景?

あと、栃木県真岡市高田、茨城県笠間市稲田という東国での重要な地の存在を初めて知った。初めて親鸞についていろいろなことを知った。

2 件のコメント:

  1. どこかでみたような表紙だなと思ったら。この前まで読んでいた本でした。とはいっても、何冊かを並行して読む癖が災いして、わたしは「第三の謎」あたりから全然進んでいませんがwww
    そうですか、100円で手に入りましたか、去年出たとき定価で買ったのにな。

    以前から浄土宗と法然には興味があって、いろいろ読み漁っています。梅原さんも「法然――十五歳の闇」とか「法然の哀しみ」とかが文庫化されていて、前者には引き込まれた記憶があります。
    法然は理論構築で民衆に布教したのは親鸞かもしれないけれど、一つの勢力となり今に生き残る凄さの背後に何があったのかすごく知りたい。『往生』一本でどうしたらこんな力を得られるのか、裕福な時代のわたしには到底理解は出来ないでしょうけど。

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  2. たぶん値段をつけ間違えたんじゃないかと思いました。梅原猛の文庫本はあまり見かけないです。

    昔、知恩院に行った時はじめて法然という人の存在を意識しましたが、浄土宗、浄土真宗について何も知らなかったです。たぶん今もあんまり理解はできてない…

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