ぜんぜん有名な作品じゃないけど、こいつも100円で見つけ出したので読んでみる。
HICKORY DICKORY DOCK by Agatha Christie 1955原題が邦題とまったく違っている。おそらくこれもマザーグースからとったタイトル。これだと日本人にはまったくなじみがなくてイメージしずらいので「ヒッコリー・ロードの殺人」となったっぽい。それでもよくわからないけど。
クリスティー作品の舞台はほとんどが貴族の豪邸だったりするのだが、今回は外国人留学生の住んでいる寮(ホステル)。
クリスティーにはめずらしく西アフリカやジャマイカやインド、エジプトからの留学生もセリフのあるキーパーソンとして登場。
時代は変わったのだが、島国英国人はまだまだアフリカ人アジア人への偏見に満ちている。
仕事完璧人間のミス・レモンがタイプミスを冒した。これは事件だ!ということで話を聴いてみると、姉のハバード夫人が寮母として運営している寮で不審な連続盗難事件が起こっている…という場面からスタート。
それも、夜会服の靴の片方だけとか、リュックサック、スカーフ、ブレスレット、電球、聴診器など取るに足らないものばかり。唯一の高価なものがダイヤの指輪。しかも緑のインクがノートにぶちまけられる事件も発生。
ポアロは自由気ままな有閑探偵。ヒッコリー・ロードにある寮を講演会と称して訪問し、事件に関しては「すぐに警察に言うべき」と若者たちの前で宣言。
するとすぐに薬局勤めの21歳女性が名乗り出て、窃盗癖があると罪を認め弁済を約束したのだが、その後モルヒネで死んでいる…。
終盤になると今度は寮のオーナーで経営者のアル中夫人も死んでいる。そして、捜査中に重大な証言をもたらすはずの女子学生も部屋で撲殺。何か組織的な密輸グループがからんでいる?!
ポアロはほんの少し聞き込みをするだけで事件の全体像をつかむ。何も活躍した印象はないし出番も少ないのだが、ラストではパズルのピースをぴたっと合わせる。
推理小説というよりも、どちらかというとサスペンススリラー2時間ドラマといった感じ。
取り調べ中の容疑者のところへ電話がかかってくる件、自分は「あのパターンかも」とすぐ気づいてしまった。
無くなったものには無くなった理由はあったのだが、それほど大した理由でもない。ややこしく込み入ってるけど、目新しい感じはしない。
たぶん、それほど期待せずにリラックスして気軽に読んだ方が楽しめる。76点ぐらい。
今まで読んできたクリスティー作品の中でも、犯人はクズ中のクズ人間だった…。
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